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「喫煙者は自己管理能力が低い=マイナス査定」ってパワハラじゃないの?!

旅館やホテルなどを全国で運営している星野リゾートの採用ページには「喫煙者は採用しません」という旨のメッセージが掲載されています。詳細についてはそちらをご覧頂くとして、日本ではこういった採用基準を設けている会社は珍しいのではないでしょうか。
ちなみにアメリカでは、喫煙者は自己管理能力が欠落しているとして昇進しづらい傾向があり、上流階級にいくほど非喫煙者が多く、健康管理に気をつけているというデータもあるようです。またアメリカに限らず、世界各国でもこれらの動きが活発化しており、喫煙率を下げるための対策が益々進んでいます。
今回は「喫煙者」という理由で、マイナス査定をすることが、何かの法律に反するかどうかを星野宏明弁護士に聞いてみました。

喫煙者であることを理由に評価を下げる行為はパワハラですか?

まず,会社内での人事評価自体は,方法が法律で規制されているわけではなく,評価を下げるだけであれば,原則として,違法性の問題はありません。

法的に問題となってくるのは,不当な人事評価を基に,降格や減給,解雇などの措置まで採った場合です。

降格や,減給をするには,就業規則に従い,勤務態度,稼働能率が著しく悪い,規律違反といった正当な理由が必要であり,何ら理由もなく,労働者の同意もなく,降格・減給をすることはできません。
喫煙者であるというだけでは,法律に違反しているわけでもなく,能率が著しく落ちるわけでもありませんから,それだけを理由に人事評価を下げた上で,降格や減給まですると違法となる可能性が出てきます。

他方,禁煙の室内でいくら注意しても無断喫煙するなど,職場の秩序,規律違反を繰り返すような場合には,それを人事評価に反映させた上で,降格・減給の理由となりうるでしょう。

取材協力弁護士  星野宏明 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所 共同代表。千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学法学部を大学院飛び級のため退学。その後慶応義塾大学大学院法務研究科を修了。北京大学へ語学留学し、中国広州市にある敬海法律事務所にて実務研修。弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業。一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門。中国語による業務も対応可能。

ライター 大田タケル Twitter Blog