HOME > 法律コラム > 最も利率の良い運用方法とは?→税金を余分に納めて、還付される還付加算金が最強?
「この超低金利の日本で、もっとも利率の良い運用先知ってる?」
「あやしいな〜そういうのって元本割れすることもあるよね?!」
「いやいや、違うんだよ。これは国が相手だから元本割れなんて無いって!」
「はあっ?国が相手に運用って・・・??」
「税金を余分に納めておいて、還付されると還付加算金というのがつくんだ。これがまた良い利率なんだ!」
笑えるような笑えない話。こういう側面もあるのが、税金の世界です。
もっとも有名かつ、多額に還付加算金を払ったのが「武富士事件」。
2005年に海外在住の武富士創業者長男への財産贈与について、国税庁は約1330億円を追徴課税しましたが、2011年に最高裁で国税庁が敗訴。いったん納められた1330億円を返却するとともに、6年間の還付加算金(金利相当分)なんと約400億円!を合わせて還付したのでした。
国税が税務調査に入り、無理に課税。その結果として、裁判までいき、国税側が負けるようなことがあれば、いったん納付された払い過ぎの税金に金利分を乗せて還付するのは当然のことによう思います。
しかし一方で、この還付加算金は税金なのですから、負けるような課税や裁判は止めてくれ、というのは国民の本音ではないでしょうか。
さて、還付加算金の金額は明示されてないにしても、つい先日も国税側が負けた、巨額の税務訴訟がありました。
今年5月に東京地方裁判所で判決が出された、日本IBMに対する1200億円もの課税処分取消しです。
実はこの訴訟、武富士事件と同じで、国税側の強引な課税ではないかと言われていました。日本IBM事件と武富士事件で共通しているのは、「租税回避行為」です。
つまり、法律には適合しながらも、課税されないようスキームを組んで実施されており、そのスキームの穴を防ぐため、「後年」税制が改正されているのです。逆をいえば、日本IBMも武富士も、税制が改正される前の合法な行為にもかかわらず課税されているという、国税側にとっては、かなり強引な課税処分といえるのです。
国税側としても、巨額の「税逃れ」を見逃すことができない、という大義名分はわかります。
しかしながら、裁判で負ければ、払う必要のなかった数百億円もの税金が無駄になることもまた、考えなければならないことでしょう。
日本IBMにしても武富士にしても、専門家の目から見ても、国税側の強引な課税処分が目立ちます。
なお還付加算金は、個人が受け取れば雑所得として申告、法人が受け取れば益金として税金が課されますので、ご留意を。
武富士事件の概要についてはこちら