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節税目的?外国人も入れて膨大な扶養家族で所得税ゼロ!制度見直しによって何が変わる?!

扶養する親族がいれば、所得税の計算上、扶養控除という所得控除が認められます。この扶養控除の対象となる親族は、日本人に限定されておらず、例えば外国に子息を残して日本に単身赴任したのであれば、その外国に住む子息についても、原則として扶養控除が認められます。

扶養控除の悪用例

外国人でも扶養控除が認められる、というポイントを利用して、数十人の扶養親族がいる、といった申告をしたケースがあったようです。本当に扶養親族であれば問題ないのでしょうが、こんなにたくさんの扶養親族がいる、というのは基本的には考え難いところでしょう。

本来、このあたりきちんと税務署がチェックすべきなのですが、扶養親族が外国に住んでいるとなると、その確認が難しく、結果として黙認されているのが現状です。この点、平成27年度改正では問題視され、平成28年分以後の所得税について、国外に居住する親族につき扶養控除や配偶者控除などを受ける場合には、所定の書類の提示等が必要になります。

送金関係書類も提示等する?

提示等する資料は、日本でいう戸籍のように、親族関係を証明する、外国政府などから発行される公的書類です。このような資料をもとに、まず親族関係があるのか、今後はきちんとチェックされることになります。

それにとどまらず、扶養親族である以上、生活費を負担する必要もありますので、それを証明するための資料、例えば送金関係の書類の提示等も必要になります。現金で生活費を手渡ししている、といった場合には記録が残りませんので、このような場合には扶養親族として認めない、といった指導がなされる可能性があり、きちんと銀行等を経由させて仕送りする必要があります。

源泉徴収義務者がチェックする

このような資料をきちんと確認する必要が今後出てくるわけですが、困ったことに確定申告で提示等するのではなく、年末調整される方については、お給料を支払う源泉徴収義務者に提示等することが原則になるようです。となれば、雇用主側できちんとチェックする必要があり、仮に源泉所得税の計算を間違えたのであれば、その不利益は雇用主が負うことになります。

本来なら、国税がきちんとチェックすべきなのですが、国税の手間を削減するためにこのような仕組みとなると考えられるわけで、平成28年分以後は大きな負担が雇用主に課せられることになります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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