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国外に財産を持っている方は要注意!国税OBが教える対処方法とその裏側!

平成26年から、海外に5千万円超の資産を持つ方は、税務署に国外財産調書を提出しなければならないことになっています。この国外財産調書を提出しなかったり、記載すべき財産が漏れていたりすれば、税務署から厳しい処分がなされる可能性があります。

実際のところ、この国外財産調書の提出は始まったばかりですが、記載内容について、税務署が厳しいチェックを行っているようで、税務署が国外財産調書を提出した方に、積極的にお尋ね文書を送付しているという情報を耳にしています。

「国外財産調査書を提出しないと痛い目にあう」とアピールすることが目的

一般の方は別途、国税OBの立場から申し上げますと、税務署は納税者から提出される書類の記載内容に細かくありません。例えば、法人税の申告書にはいろいろな資料を添付することになっていますが、税務調査を実施する場合は別途、基本的にその内容を税務署は見ていません。細かく見るとなると、時間がいくらあっても足りませんし、そもそも税務職員は楽な仕事を好みますので、申告書のように大量に提出される書類について、真剣にチェックするということも原則としてありません。

このため、国外財産調書の記載内容に厳しいというのは、かなり意外です。おそらく、スタートして間もないこともあり、「国外財産調書を提出しないと痛い目に合う」ということをアピールしたいのでしょう。

調査書には最低限の記載内容でOK

ところで、情報を基本的に出さないというのは税務調査の鉄則です。このため、法律で求められる以上の情報を、国外財産調書に記載する必要はありません。

しかし、税務職員は法律に詳しくないこともあって、中には法律で求められている以上の情報を記載するよう、納税者に指導をするといったケースも考えられます。このようなことのないよう、国外財産調書の記載内容につき税務署から指導があった場合には、どこまで記載すべきか、なぜ自分の記載がダメなのか、法律の根拠も含めて詳細な説明を求めることとしてください。

過去の申告にも要注意!

税務署が特に怪しいと思うのは、例えば数年前に外国株式の配当を申告しているにもかかわらず、その株式が国外財産調書に載っていないような場合です。

過去の申告もしっかり見直した上で、外国から配当などの所得をもらっていたことはないか、もらっていたとすれば、そのもとになる財産は現在どうなっているか、確認したうえで国外財産調書を作成することとしてください。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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