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【知らない経営者は失格】節税の基本中の基本である「短期前払費用の特例」をプロが解説!

税理士が顧問先に多く提案する節税の一つに、「短期前払費用の特例」という制度があります。
これは、(1)いわゆる前払費用のうち、(2)支払日から1年以内に役務提供を受ける部分について、(3)毎期継続して支払った時の費用としている場合には、支払った段階で経費とすることができる、という制度です。

短期前払費用の特例とは

事務所の家賃を前払いしても、実際のところはその事業年度において支払期日が到来していないものは、経費にはなりませんが、この制度を使うと、例えば決算日に来期1年間分の家賃を前払しても経費となるわけで、費用の先取りをすることができます。

こういうわけで、税理士は短期前払費用の特例を、節税として広く提案していますが、失念してはいけないポイントがあります。

短期前払費用には等質等量という要件が重要!

短期前払費用に関して、一般の経営者の誤解が大きいのは、家賃や保険料はこの対象にはなるものの、税理士の顧問料などは対象にならない、という点です。これは、短期前払費用の大前提として、等質等量のサービスに対する支払のみが対象になるとされているからです。

等質等量と言われても、なかなか難しいですが、利息や賃貸料は、契約期間において提供されるサービスの内容は全く同じです。反面、税理士の顧問料は、月によって経理処理の件数なども変わりますから、月極めで顧問料を支払っているとは言っても、サービスされる量は毎月同じではない、ということになります。

こういうわけで、利息や賃貸料、そして保険料は短期前払費用の特例の対象になり、そうではない税理士の顧問料などは、対象にはならないということになります。

原価とされるものも対象外

その他、原価とされるものも、この制度の対象外とされています。
金融業者などであれば、他からお金を借りて利息を支払い、自分のお客さんにそのお金を貸して上乗せの利息を収入する、といったことも多いと思いますが、このような場合に支払う利息は、受け取る利息の原価と見ることができます。

原価は売上と個別に対応させる必要があるとされており、売上が計上されない限り、原価を費用とすることはできません。このため、短期前払費用の対象となる費用が原価とされるものであれば、一年分前払しても費用にはなりません。

このあたり、その費用と直接見合いになる収益があるかどうかで判断します。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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