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電車が遅延 → 大事な商談に遅刻 → 失注 → 鉄道会社に損害賠償請求って可能?!

人身事故で電車が遅延。まずい遅刻だ!ーー都心部で働くビジネスマンであれば誰もが一度は経験したことあるのではないでしょうか。しかし会社に遅刻ということだけであれば、そこまで大事にはなりませんが、それが例えば重要な商談だったら?
「遅延する可能性も見越した時間前行動ができないような相手とは取引したくない」なんてこともありえるでしょう。さて、そんな時に「失注したのは鉄道会社の責任だ!訴えてやる!」というのは可能でしょうか?
この問題について、井上義之弁護士に話を聞いてみました。

「ある目的地まで運ぶ」という契約であって、そこには「到着時間」は含まれていない

さて、まずは「電車を利用する」という事自体がどういった契約になっているのか教えてください。

『鉄道会社と乗客との間にはある地点まで乗客を運ぶという契約が成立していますが、原則として決まった時刻までに到着することは契約内容に含まれていません』(井上義之弁護士)

なるほど、時刻表はありますがそれを保証するという契約ではないという意味ですね。

『したがって、鉄道会社が電車が遅れたことによって乗客が被った損害について損害賠償責任を負うことは原則としてありません(一定の場合に、料金の払戻等は行われています)。仮に鉄道会社が電車の遅れにより乗客に生じた損害をすべて賠償した場合、賠償額は巨額となり、多数の乗客を安価で運ぶことができなくなってしまうでしょう。』(井上義之弁護士)

確かに井上義之弁護士の言うとおりかもしれません。遅延の度に、その損害分を補償することは現実的に不可能ですね。

過去、遅延を理由に訴えたケースがあった!しかし結果は・・・

過去、実際に遅延によって負った損害の賠償を求める裁判が有りました。しかし鉄道会社の責任を認めたケースは一つもありませんでした。判例でも、上述した井上義之弁護士の内容と同様にまとめられています。

『大事な用事については、余裕をもって予定を組んでおくべきです』(井上義之弁護士)

井上義之弁護士の言う通り、大事な商談など、絶対に遅刻できない時はいつも以上に早く出発することが重要です。逆に自分が取引先だった場合、大事なアポイントに遅刻した理由を、電車遅延のせいにしているようなビジネスマンは、確かに信頼に足り得ないかもしれませんね。

取材協力弁護士  井上義之 事務所HP
第一東京弁護士会所属。主な活動歴「文部科学省 研究開発局 原子力課 原子力損害賠償紛争和解仲介室 主任調査官」「関東財務局 関東経済産業局 中小企業経営革新等支援機関」「第一東京弁護士会 労働法制委員会」などその他多数あり。趣味は60カ国以上を訪問してきた旅行(南極大陸も経験あり!)、キリマンジャロやヒマラヤなども経験済の登山、その他スポーツ全般。取扱分野は幅広く、依頼者のあらゆる要望に応えるために、他の士業とも連携し迅速対応を心がけています。

ライター 大田タケル Twitter Blog

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