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「信号無視の大人を真似て子供が横断歩道渡る→子供はねられて死亡」 直前に信号無視をした大人にも責任問える?

皆さんは普段、信号無視をしていませんか?残念ながら、多くの方が信号無視をしたことがあるのではないでしょうか。
しかし子供の前だとどうでしょうか?自分の子供であれば守る人が殆どでしょう。しかし赤の他人の子供でも守れていますか?
子供には物事の分別を判断する能力が充分に育っていないため大人の真似することがあります。赤信号でも渡る大人を見て「車が来てないならわたってもいいのかな?」と考えても決しておかしくありません。
もしもそれによって交通事故にあった場合、その責任は当然ドライバーにあるわけですが、例えば今回のように、大人が信号無視をして渡るのを真似たことが1つのキッカケになっていたとしたら、その大人にも責任を問えるのでしょうか。今回はこの問題について木川雅博弁護士に話を聞いてみました。

責任を問えるかどうか、それは過失があるかどうか!

単刀直入にお伺いしますが、この信号無視をした大人に損害賠償の請求は出来るのでしょうか。

『結論から言えば、子どもの親の信号無視をした大人に対する損害賠償請求は認められないでしょう』(木川雅博弁護士)

この結論を予測していた方は多いのではないでしょうか。ではその理由とは何でしょうか。

『まず、このケースで損害賠償が認められるためには、子どもが車にはねられたことについて、信号無視をした大人に過失(注意義務の違反)があることが必要です』(木川雅博弁護士)

監督責任がないから責任を問えない!

過失とは、ある事実を認識・予見することが可能だったにもかかわらず、その注意を怠ること。結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ることを言います。

『では、信号無視をした大人に過失があるかというと、このケースは子供の親戚だったり、子供の両親から預けられたりした人ではないので子供を監護・監督する立場にないといえます。そうすると、子供が車にはねられないように気をつけるという注意義務がその大人に発生しているとはいえません』(木川雅博弁護士)

なるほど。子供に対する監督責任がないため、過失は認められないということですね。

『また、いくら物事を分別する能力のない子供がそばにいたとしても、その大人には自分が信号無視をしたことによって子供も信号無視をしてしまうということが予めわかっていた、または、わかるべきであったとまではいえませんから、この点からも信号無視をした大人に過失はないといえるでしょう。したがって、損害賠償請求は認められないといえます』(木川雅博弁護士)

信号無視をしたことで、子供も信号無視をすると予測できないため、やはり過失は認めらないとのこと。

信号無視をして、それを真似た子供が交通事故に遭ったとしても、無関係だと考えるのは決してよくありません。その子供の親の立場となって考えれば到底納得できるはずはないでしょう。赤信号を渡ろうとするあなたのそばには、いつも子供の目があることを忘れてはいけません。

取材協力弁護士  木川雅博 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所所属。平成23年に早稲田大学大学院法務研究科を修了した後、通信会社の法務・安全衛生部門に勤務。その後司法修習を経て、現事務所に入所。弁護士会では不動産法部や家族法部、相続遺言部などの会員として活発に活動。一般民事から企業法務、刑事事件など幅広く対応可能。弁護士を「身近な存在」として認識してもらえるように、日常生活における法律問題のコラムを多数執筆中。

ライター 大田タケル Twitter Blog