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沢山の署名を集めて情状酌量を訴えたら、正直どれくらいの効果あるの?!

街を歩いていると署名を求められることがあります。

その目的は様々ですが、基本的には「多くの人の賛同を集め、それをひとつの証拠として、相手方に対し情のようなもので訴える」ことではないでしょうか。
署名を元に訴える側としては、何としてでも聞き入れて欲しい事情があるのかもしれません。しかし、訴えられた側の立場に立つと、その署名が軽い内容であればまだしも、真っ向から対立しているようなものである場合は、とても頷くことは出来ないかもしれません。

さて今回はこの署名が刑事裁判で提出された場合、裁判官はどれほど考慮してくれるのでしょうか。
労力の割に効果が期待できないのか、あるいは減刑を受け入れてくれるのか。
この問題について星野宏明弁護士に聞いてみました。

裁判官は、事件に関連する一切の事情を総合的に判断して判決を下す

裁判官はそもそも、どのような事情を考慮して量刑を下すのでしょうか?

『刑事裁判で有罪になったとして、法定刑の範囲内で、具体的にどのような量刑で処断するかは、裁判官が、当該事件に関する一切の事情を総合的に考慮して決定します。もちろん、事件に関する事情を総合的に考慮するといっても、考慮すべき事情としてどれを重視し、どれを重視すべきでないかは、決まりがあります』(星野宏明弁護士)

星野宏明弁護士は考慮する事情と、そうでない事情があるといいます。
では、それぞれどういった事情が分類されているのか教えてください。

『具体的には、当該犯罪行為の危険性や問題性、計画性、被害結果の重大性は、一般に重視すべき事情といえます。他方、犯罪と直接関わらない背景事情は、あまり重視されません。もっとも、犯罪と直接関わらない事情でも、再犯防止の見込みなどは、一定程度重視されます』(星野宏明弁護士)

署名には効果がある!

署名自体は犯罪とは全く関係がありません。しかしここで一つ重要なキーワードがでてきました。それは再犯防止の見込みがあるかどうかも考慮されるという点です。
つまりその署名の内容が、いくら犯罪を犯したとはいえど、素晴らしい人間性の持ち主であったかを訴えるものであるならば、裁判所も汲みとってくれるかもしれません。事実、星野宏明弁護士もその可能性を否定はしません。

『署名を集めた嘆願書は、犯罪と直接関わらない事情の1つとして考慮されます。人望がなければ署名を集めて支援してくれる人はいませんので、多数の署名を集めた嘆願書は、裁判所に対し、それだけ被告人の普段の素行の良さや今後周りの支援を受けて更生することが期待できることを示すことができます』(星野宏明弁護士)

『したがって、有利な情状として、それなりの減刑材料にはなります』(星野宏明弁護士)

署名効果に過度な期待は禁物!

やはり署名には効果があるようです。
今まさに署名を集めようとしている方々にとっては目からうろこではないでしょうか。
しかし、星野宏明弁護士は最後にこう締めくくりました。

『ただし、あくまで量刑を決定する上で一番重要な要素は、犯罪行為に関する事情ですので、多数の署名がある減刑嘆願書を提出したとしても、基本的には刑が半減するような劇的な効果まであるわけではありません』

署名に一定の効果はあっても、やはり犯罪行為自体の方が重要視されるため、過度な期待はできないということでしょう。もしもあなたが署名を集めようと考えているならば、その効果を正しく理解した上で行動を起こすことをオススメします。

取材協力弁護士  星野宏明 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所 共同代表。千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学法学部を大学院飛び級のため退学。その後慶応義塾大学大学院法務研究科を修了。北京大学へ語学留学し、中国広州市にある敬海法律事務所にて実務研修。弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業。一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門。中国語による業務も対応可能。

ライター 中尾