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一般教養として知っておきたい「不貞による離婚」で不倫相手も含めて請求できる3つ!

不貞行為とは「配偶者のある者が、配偶者以外の者と性的関係を持つこと」を言います。つまり不倫のことですね。
そして、夫婦にはお互いに貞操義務を負っており、この義務を守らなかった場合、離婚の請求をすることができます。
不貞による離婚を相手方に請求する場合、その不貞行為を証明するのは、不倫された人となります。裁判でも実際に不貞行為があったかどうかや、それによって婚姻を破綻させたかどうかが焦点となります。

さて今回はこの不貞による離婚で、相手方に対して具体的に何を請求できるかまとめてみました。また浮気相手に対しても同様にどんな請求が出来るのでしょうか。回答してくれたのは藤沢かわせみ法律事務所の代表である松永大希弁護士です。

夫婦が協力して汗水垂らして貯めた財産を分配 財産分与

まずは不貞による離婚で、相手方には一般的にどんな請求が出来るのでしょうか。

『一般的に、不貞行為を原因として離婚する場合に、相手方に請求することができるものとしては、(1)財産分与、(2)慰謝料、(3)年金分割が挙げられます』(松永大希弁護士)

もしも現在進行形で離婚を検討中の方であれば、覚えておいて決して損はないですね。では早速ですが財産分与について教えて下さい。

■財産分与
『財産分与は、婚姻生活中に夫婦で築き上げた財産を、離婚時に分配することです。財産分与の対象となる財産を算定する基準時は夫婦の別居時とされています。また、財産の名義が夫婦の一方の名義であったとしても、財産分与の対象になることがあります。ただし、婚姻前に築いた財産や、相続によって取得した財産等は「特有財産」として財産分与の対象から外れますので注意が必要です』(松永大希弁護士)

財産分与の対象となるのは、夫婦が協力して汗水垂らして貯めた財産と解釈できますね。つまりそうではない財産(特有財産)は対象外のようです。また別居している方は、その別居開始時点からの財産は財産分与の対象にはならないようです。

離婚原因、結婚期間の長さ、相手の収入などで決定 慰謝料

次に慰謝料はどうでしょうか。

■慰謝料
『慰謝料は、離婚をすることで必ず発生するものではありませんが、不貞行為を原因として離婚する場合には、相手方に請求することができる場合が多いでしょう。慰謝料の金額は、離婚の原因、婚姻期間等の事情を総合的に考慮して決められることになります」(松永大希弁護士)

慰謝料とは、離婚による精神的苦痛に対して支払われるお金のことですが、この苦痛が大きいかそうでないか、つまり慰謝料がどれくらいになるのかは、離婚原因や結婚期間の長さ、相手の収入等で決定されると松永大希弁護士は言います。

結婚期間中の厚生年金納付分を分割 年金分割

それでは最期に年金分割について教えて下さい。

■年金分割
『年金分割は、婚姻期間中の厚生年金(あるいは共済年金)の夫婦の保険料納付記録を当事者間で分割する制度です』(松永大希弁護士)

誤解されることが多いのですが、老後の年金支給額が20万だった場合、その半分を受け取れるわけではありません。それはその年金に厚生年金以外も含まれている可能性があるためです。また松永大希弁護士も言うように、結婚している期間中のみが分割対象となることも抑えておく必要があります。

離婚原因を作った、浮気した当人から「離婚したい」と言われても認められにくい!

ここで松永大希弁護士が興味深いことに言及してくれました。

『なお、不貞を行った当事者は有責配偶者と呼ばれていて、有責配偶者からの離婚請求は認められにくいことが多いです。そのため、そもそも、夫から離婚を切り出されたとしても、直ちに離婚しなければならない、というようなことは少ないと思います』(松永大希弁護士)

仮に夫が不倫をし、その不倫した夫から「好きな人ができたから別れたい」などと切りだされても、すぐに離婚しなければならないなんてことはないようです。

浮気相手に請求できるのは「慰謝料」!

では次に不倫相手にはどんな請求ができるのでしょうか。

『不倫相手に対しても、慰謝料を請求することができます』(松永大希弁護士)

しかしここで注意事項も述べてくれました。

『ただ、配偶者が結婚していることを隠していて、既婚者であることを不倫相手が知らなかった場合には、不倫相手に対する慰謝料の請求は難しいです。また、夫から既に十分な金額の慰謝料を受け取っていた場合、不倫相手に対して、さらに慰謝料を請求することはできません。これは、不貞行為というものが、夫(相手方)と不倫相手が共同して精神的苦痛を与えたものと考えられているためです』(松永大希弁護士)

『夫と離婚しない一方で不倫相手に慰謝料を請求することもできます。ただし、この場合に認められる慰謝料の金額は、低額になることが多いようです』(松永大希弁護士)

既婚者であることを知っていた、あるいは既に相手方から十分な慰謝料を受け取っていた、この場合は不倫相手に慰謝料は請求できないとのこと。また違ったケースとして、不貞があったとしても、離婚しないと決めた場合は不倫相手に慰謝料請求も可能のようです。

慰謝料等の請求は当然の権利です

「お金はいらないから、とにかく離婚したい」という言葉を聞きます。
これは「もうこれ以上、関わりたくないし、長期化させたくない」というところが本音でしょう。勿論それでも後悔しないのであれば問題はありませんが、離婚問題の多くが「決めるべきこと」を決めなかったことによって起こっています。確かに離婚という一大事で、精神的には相当な負担がかかっていることは間違いありません。しかしそこで一度立ち止まって冷静になって考えることをまずはオススメします。

取材協力弁護士  松永大希 事務所HP
横浜弁護士会所属。藤沢かわせみ法律事務所代表。東京大学法学部卒業。首都大学東京大学院社会科学研究科修了。適切なタイミングで弁護士に相談が出来ずにトラブルが大きくなったケースを何度も見てきました。これは弁護士に対する敷居の高さが原因と考え、親身で分かりやすい弁護士を目指して日々奮闘中。

ライター 稲岡