HOME > 法律コラム > 傍聴人を増やしたり、マスコミに取り上げてもらうと判決に影響ってあるの?!
刑事事件において、量刑をどのように決定するかは、事件に関連する全ての事情を総合的に考慮することになります。
その中でも特に重要なのは、その犯罪行為自体の危険性や問題性、計画性、被害結果の重大性だとされています。
では例えば、テレビドラマなどでは良く見かける、「マスコミに取り上げてもらって注目度を上げる」や「傍聴人を増やす」というのは判決に影響をあたえるのでしょうか。
これらは注目度が上がることによって裁判官に心理的な影響を及ぼすようなイメージが有り、実際にテレビドラマ等でもそういった目的のために利用されているシーンを良く見かけます。
今回はこの問題について星野宏明弁護士に話を伺いました。
まずは量刑を決定するにあたって、あまり重要視されない事情を教えて下さい。
『犯罪と直接関わらない背景事情は、あまり重視されません』(星野宏明弁護士)
重要視されるのは犯罪に直接かかわる問題と上述しましたが、やはりそれ以外はあまり重要視されないと星野宏明弁護士は言います。これは本題である「マスコミに取り上げてもらう」や「傍聴人を増やす」というのもあまり期待できないでしょうか。
『結論をいうと、傍聴人を増やしたり、マスコミに取り上げてもらったこと自体が、減刑材料として考慮されることはありえません』(星野宏明弁護士)
やはり考慮されることはないとのこと。少なからず影響をあたえるかと思ったのですがそんなことはないようです。では念のためその理由も教えて下さい。
『そもそも、法廷で正式な手続きを踏んで証拠調べされていない事情は考慮できないからです。したがって、判決に影響することはまずありません。』(星野宏明弁護士)
裁判で証拠書類を提出する際、その証拠の説明書を作成して、証拠と一緒に提出します。裁判官は、判決に至る事件において、その証拠説明書を重視することになります。つまりその証拠書類として提出された物以外で判決に影響をあたえることはないという意味です。
テレビドラマによって少なからず影響をあたえると思っていたこれらの行為は全く何の意味もなさないということを覚えておくといいかもしれません。