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ボロ負けが続く国税。その最大要因は不利益処分の理由附記。納税者はそこを逆手に取ればいい?!

税制改正により、原則として平成25年から、税金を追徴する更正処分など、納税者にとって不利益な処分を行う場合には、すべからくその理由を書面で明確にする(理由附記)ことになりました。税制改正前は、理由附記は例外的な場合にのみ行うこととされていましたが、理由も分からないのに税金を納めさせられるのは常識として受け入れられることではなく、結果として原則になったのです。

この理由附記について押さえておくべきは、理由が不十分である場合、納税者に対する不利益処分は違法になる、ということです。このため、国税としては、この理由附記に非常に慎重になっています。

理由など書けないのが調査官

税制改正が実現してから2年経ちますが、当初の見込みどおり、税務署がぼろ負けする事態が散見されます。法律を読めば分かるから、理由を特に書かなかった、として手痛い目にあった事例もありますが、そもそも論として、税務署の能力からして理由を明確化することは不可能に近い、という事情があります。

法律に詳しくても特に評価されない、という事情もあり、基本的に税務署の職員は法律を勉強しません。明確にすべき理由は、当然ながら法律的に明確でなければ話になりませんので、法律に詳しくない調査官にとっては、非常に気の重い作業になります。

実際のところ、理由附記をする場合、調査官は「文例集」というマニュアルの文例をそのまま使いますが、国税としてはこのマニュアルの整備が遅れている、といった事情もあると考えられるところ、調査官としてはつたない法知識で理由を書かざるを得ず、四苦八苦していると思われます。

税務調査対策としては?

更正処分などの不利益な処分を行う場合に、理由附記を行う必要がありますので、納税者が自主的に反省して提出する修正申告書で税務調査を終わる場合、原則として調査官は理由附記を行う必要がありません。このため、楽に仕事を終えるために、修正申告書がのどから手が出るほどほしい、という現実があります。

税務調査対策としては、この点を考慮して、修正申告書の提出をチラつかせながらぎりぎりまで交渉したり、修正申告書を提出することを前提としても、「更正処分を行うなら当然に理由は明確になるはずです。理由を教えてください。」といった形でプレッシャーをかけたりすることが効果的でしょう。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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