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立証責任が納税者にあるなら税務調査での録音を認めるべき?!ダメなら代案を!

税務調査の結果、間違いが見つかるとペナルティーとして加算税がかかりますが、たとえばその間違いが税務署の指導を悪意なく信用したために起こったもので、かつ納税者に責任がないのであれば、加算税をかけることは必ずしも妥当ではありません。このため、法律上、申告の間違いに「正当な理由」があれば、加算税はかからないとされています。

この正当な理由ですが、法律には明記されているものの、実務上はほとんど認められていません。その大きな理由のひとつに、正当な理由があって申告を間違えたことを、納税者が立証しなければならない、とされていることがあります。

立証することは極めて困難

録音などの客観的な記録が残っていなければ、税務署が間違った指導をしたことを証明することは極めて困難です。メモ書き程度の記録では、相互の主張が食い違うことが常ですから、税務署や裁判所はおいそれと納税者の言うことを信用しません。

実際のところ、裁判例を見ると、税務署はよく「こんな事実関係はありません」と主張して、加算税が免除される正当な理由がないと説明しています。善良な納税者を尊重する、とは言いますが、正当な理由は基本的には認めないというスタンスでいますので、税務署は非常に厳しい対応をするのです。

こっそりと録音する

こういうわけで、納税者としては後日のリスクヘッジを兼ねて、録音に対するニーズが非常に大きいと考えています。この点、面と向かって録音をすると、調査官がそれを差し止めることが多々ありますので、それなら調査官にばれないようこっそりと録音すればいい、といった話も耳にします。

録音があれば必ず正当な理由が認められるというわけではありませんが、立証責任は納税者にある以上、このような対応も一考の余地があると考えます。

録音は嫌がらせではない

税務署は録音を否定的に考えているところ、ある税務署寄りのOB税理士は、「録音は調査官に対する悪質な嫌がらせである」と書いていました。録音がない以上、納税者の立証は非常に困難になると思いますが、このあたりどう考えているのでしょうか?

録音は守秘義務の観点から問題が残ることも事実でしょうから、録音を禁止することが一概にまずいとは言えません。しかし、立証できるか否かで税負担が大きく変わることも事実であるところ、録音を禁止するのであれば、それに変わる立証手段を税務署は明確にする必要があると考えます。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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