HOME > 法律コラム > 納め過ぎた税金を返してもらうなら、絶対に気を付けたいたった一つの事とは?
確定申告で計算を間違ったため、税金を少なく申告していれば、税務調査によって是正されますが、それとは逆で税金を納めすぎた場合、その納めすぎた税金を還付してもらえる更正の請求という手続きが認められます。
従来、更正の請求は申告期限からわずか1年しか認められていませんでしたが、その期限が平成23年より5年に延長されています。このため、納税者にとっては非常に使いやすい制度になっていると言われています。
このように申し上げると、申告がまちがっていたとしても問題がないと思われるかもしれませんが、税務署としてもそうやすやすと税金を返したくはありませんから、更正の請求には多くの注意点があります。
計算が間違っていたため、税金を納めすぎた、という事情があるため更正の請求が認められるのですが、当然ながらこの事情は税務署に皆様が説明する必要があります。この説明のため、原則として更正の請求を行えば、その内容が正しいか確認するために税務調査が実施されます。
還付を求める金額が小さい場合、敢えて税務調査をせずに電話等で内容を確認する、といった簡便な手続きで終わらせることもありますが、税務署から何らかの接触があることは間違いありませんので、更正の請求をする場合には、税務署から細かくチェックを受けることを覚悟しておく必要があります。
その他、更正の請求を行う場合には、その請求書に更正の請求を行う理由について記載された基礎資料を添付する必要があります。
更正の請求の盲点ともいえるものですが、住宅ローン控除など、いわゆる政策減税の措置については、更正の請求の対象とされないケースがあります。このため、住宅ローン控除が適用できるにもかかわらず、その適用を確定申告で忘れたため、更正の請求で遡って適用したい、ということは認められません。
住宅ローン控除などの政策減税は節税効果が大きいものですので、更正の請求に期待することなく確定申告において着実に適用を受けることに心がける必要があります。
税理士のホームページなどを見ると、更正の請求が非常に使いやすくなった、という宣伝が多く見られます。この点、間違ってはいませんが、更正の請求は問題なく還付を認める制度ではありません。
このため、更正の請求が使えるから、という甘い考えで申告するのではなく、専門家のサポートを受けるなどして、計算誤りがないよう慎重に申告しましょう。