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言った言わない問題を起こさない為に書面で提出したら「たちの悪いことをしますね」と言った税務署

税務調査において、往々にして問題になるのは、言った言わないの問題です。調査官が聞き忘れることも多いですし、かつ自分にとって都合の悪い話は基本的に聞かないため、主張した内容が正確に税務署に伝わっていないことがあります。

録音が禁止されていることを踏まえれば、言った言わないの問題に対して有益な交渉ができないため、お勧めしている内容が、税務署に書面で主張する、という方法です。

書面で主張する効果とは?

書面で回答することとすれば、税務署は受付印を押す必要がありますから、きちんと記録に残ります。この点、税務調査の争点をまとめる必要がある調査官にとっても有効と考えていますが、当の調査官は書面で主張をまとめて提出することを、悪質な行為と考えているようです。

私の知り合いの税理士が、書面に税務署への反論をまとめて提出しようとした際の話です。「たちの悪いことをしますね」と税務署の幹部職員が窓口に下りてきて、提出を取り下げさせたという事例を耳にしました。

このような記録が残ってしまうと、後々のトラブルにつながる可能性があるため、書面で提出することを税務署は非常に嫌うわけですが、書面で提出すること自体、禁止されている行為ではありません。

税務署は都合のいい書面を求める

といいますのも、税務調査においては、「一筆」という書面の提出をしばしば求められます。これは、悪いことをしました、ごめんなさいという趣旨の書面であり、簡単に言えば税務署にとって都合のいい書類です。

このような書類は積極的に提出させながら、都合の悪い書類の提出は認めない、というのは筋が通らない話であり、事実私も税務署と見解の相違が生じれば、書面で自分の見解を提出しており、問題なく受け付けてもらっています。

なお、一筆については、税務署がお願いしたとしても、あくまでも「納税者がすすんで提出した」書類という整理をしています。このため、後日「こんな書類を提出する気はなかった」といっても、基本的には取下げを認めてもらえませんので、注意してください。

反面、一筆を出すように言われても、拒否して問題ないとされていますから、極力拒否しましょう。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by 401(K) 2012

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