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許可無く充電したら窃盗?万引きと違って電気は目に見えないけどこれも財物?

窃盗罪とは、他人の財物を窃取した場合に成立する。そして、その財物の定義に関しては少々争いがあるようだ。ちなみに辞書によると、財物はこのように明記されている。「(1)金銭と品物。財貨。たから。ざいもつ。(2)刑法上、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領などの財産犯の客体となるもの。」

万引きのように目に見えるものであれば話は簡単であるが、電気はそれとは違う。しかし携帯電話やノートパソコンなどが普及するとともに、公共の場で設置されている電源を勝手に利用して充電を行う行為が多発している。
さて今回は、そのような場で充電を行うことが、「電気を盗んだ」として、窃盗罪が成立するかどうかを鈴木翔太弁護士に聞いてみた。

1907年に「電気は財物である」と明確に規定された

早速であるが、電気は財物としてみなされるのだろうか。

「『電気を盗む』という表現は、万引き等の窃盗と比較すると、馴染みの薄い表現だと思います。電気は、目に見えないものだからです。しかし、刑法は『電気は、財物とみなす』(刑法245条)と定めており、電気が窃盗罪(刑法235条)の客体となることが明らかとなりました」(鈴木翔太弁護士)

旧刑法において、窃盗はそもそもその目的物が「物」、つまり「有体物」であることを規定していた。そして電気は有体物ではない。しかし1901年に横浜共同電灯会社が、電気を契約以上に使用されたとして利用者を訴えた。その後、訴えが認められ1903年に窃盗罪が成立した。そして1907年に電気は財物であると明確に定義されることとなった。

誰でも使用可能な電源以外は窃盗罪が成立!

つまり、誰もが使用することを認められた電源以外で、充電を行ったらそれは窃盗罪ということになるのだろうか。

「旅館・レストランや新幹線の客席等、利用者が自由に使用できるようになっているコンセントを除いて、他人が管理するコンセントで勝手にスマホ等を充電する行為は、窃盗罪に該当します」(鈴木翔太弁護士)

「すなわち、コンセントが何のために備えられているかという点が重要です」(鈴木翔太弁護士)

鈴木翔太弁護士は、そのコンセントが誰でも利用可能かどうかが重要であるという。つまり他人の家は勿論、友人宅であったとしても、無断で使用したなら窃盗罪が成立するということだろう。
ちなみに電気の窃盗が社会問題化したことによって、盗電防止用カバーを開発・販売する企業も出現しているようだ。困っている事業者は、一度検討してみてはどうだろうか。

取材協力弁護士  鈴木翔太 事務所HP
東京弁護士会所属。主に離婚、相続問題、労働問題、交通事故、借金問題、刑事等に幅広く対応。また趣味もフットサルやテニス、マラソン、旅行、食べ歩き、散歩等とても幅広く、緊張することなく共通の話題を通して、まずは信頼関係を構築することに注意しています。