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妊婦が交通事故!もしも障がい児となって生まれてきたら、加害者にはどんな責任を問える?!

妊娠中に交通事故。自分の身体以上に心配なのは、胎児への影響だろう。
一般に、妊婦が交通事故にあった場合、その時期によって胎児への影響は異なる。妊娠初期であれば子宮が外傷を受ける可能性も低く、切迫流産の頻度も少ないと言われている。しかし中期以降となると、その可能性は格段に上がる。中でも最も可能性が高いのは胎盤早期剥離である。胎児は、胎盤を通じて酸素と栄養素を貰っているが、それが剥がれてしまい、十分な供給がなされない状態となる。
これによって最悪、胎児死亡に至ることも有るが、仮に生まれ来てきたとしても脳性麻痺などの障害が残る場合もある。
さて今回は、交通事故が原因で、障がい児が生まれてきた場合、加害者に対してどんな責任を問えるのかを井上義之弁護士に伺った。

妊婦と障がいを負った子供、それぞれに対する民事と刑事の責任で考える

加害者が負うべき責任は主に民事と刑事、また妊婦に対する責任と、障がいを負うことになった子供へのそれで、それぞれ分けて考えることができるが、最初に妊婦と子供に対する、刑事上の責任について伺ってみた。

「女性を被害者とする自動車運転過失致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第5条)が成立します」(井上義之弁護士)

「子供との関係でも、自動車運転過失致傷罪が成立する余地があります」(井上義之弁護士)

自動車運転過失致傷罪は7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金と規定されている。ちなみに生まれることなく、胎児が死亡してしまった場合、胎児に対する自動車運転過失致死罪は成立しない。親としては到底納得がいかないかもしれないが、胎児は人に含まれないことが理由である。

障がいを負った子供に対しても責任は認められる!

では続いて民事上の責任はどうだろうか。

「加害者は、直接の被害者である女性との関係で損害賠償責任を負います」(井上義之弁護士)

これは妊婦に対する民事上の責任として損害賠償が認められるという意味であるが、では生まれてきた子供が障害を負ったことに対する責任はどうなるのだろうか。

「さらに、民法721条により、胎児は、損害賠償の請求権については既に生まれたものとみなされますので、胎児である間に受けた不法行為によって出生後に障害が残ってしまった場合、加害者は生まれた子供との関係でも損害賠償責任を負います」(井上義之弁護士)

生まれてきた子供が障がいを負ったことに対しても、損害賠償責任が認められると、井上義之弁護士は言う。

早期の診断と同時に、法律の専門家への相談も忘れずに!

交通事故は自分の注意だけではどうすることもできない。どんなに最善を尽くしても悲劇は起こってしまう。
もしも交通事故にあった場合は、早期にかかりつけの病院に診断してもらうことをオススメしたい。
そして、弁護士等の法律の専門家に相談することも、決して忘れてはならない。

取材協力弁護士  井上義之 事務所HP
第一東京弁護士会所属。主な活動歴「文部科学省 研究開発局 原子力課 原子力損害賠償紛争和解仲介室 主任調査官」「関東財務局 関東経済産業局 中小企業経営革新等支援機関」「第一東京弁護士会 労働法制委員会」などその他多数あり。趣味は60カ国以上を訪問してきた旅行(南極大陸も経験あり!)、キリマンジャロやヒマラヤなども経験済の登山、その他スポーツ全般。取扱分野は幅広く、依頼者のあらゆる要望に応えるために、他の士業とも連携し迅速対応を心がけています。

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