HOME > 法律コラム > 「会社の費用で社長がプライベート旅行」ーー実はこれ、税務調査官にとって恰好の餌食?!
調査官にとって非常においしい税金の追徴方法は、認定賞与と言われるものです。例えば、社長がプライベートで行った旅行の費用を法人の費用とした場合、法人が社長に臨時のボーナスを渡したのと一緒、という指導がなされることが通例ですが、このような指導を認定賞与といいます。
認定賞与の場合、法人ではプライベートな費用として経費にならないことに加え、社長はお給料をもらっているわけですから、お給料に対する所得税も追徴されます。つまり、法人税も所得税も追徴できるため、調査官にとって非常においしい課税が認定賞与なのです。
認定賞与として課税する場合、よく問題になるのはボーナスを支払ったのではなく、お金を法人から借りただけだ、という反論です。お給料になるか、お金を貸したか、その区分は返済するかどうかが決まっているかという点ですが、その判断はかなり微妙です。先の例でいけば、社長に返す意思がなかったのであればボーナスをもらったということになるでしょうが、社長の意思は目に見えるものではありませんので、調査官としては決め手を欠くことが正直なところです。
このため、認定賞与にする、と調査官から指導されても、粘り強く交渉することでお金を借りた、という処理(貸付金処理といいます)が認められることがあります。
貸付金処理がされれば、お給料に対する所得税の課税はありませんので、一般的には認定賞与よりも都合がいいと言われますが、デメリットとしては、その貸付金の利息を計上する必要があるということです。
お金を貸している以上、当然に利息が発生するところ、その分の利息は収益計上する必要がありますし、詳細は省略しますが、その利息に対してはお給料に該当するとされ、所得税がかかります。
つまり、貸付金処理の場合には、元本部分については所得税がかかられないものの、利息部分については所得税がかかる、という結論になります。
その他、貸付金処理を認めてもらう場合、会社からお金を借りているという証明のため、金銭消費貸借契約書や一定の書類を作成し、税務署に提出するよう求められます。この契約書は、印紙税の対象になるところ、きちんと印紙を貼る必要があります。
このあたり、税務署内部の決裁は非常に厳しいですから、契約書を出さないと突っぱねると、認定賞与課税されることが通例ですので、注意してください。