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従業員の給料を上げる前に、絶対にやっておきたい「所得拡大促進税制」をプロが解説!

現在、非常に使い勝手のいい政策減税として、所得拡大促進税制と言われる制度が注目されています。これは、いわゆる従業員の賃上げを実施した企業に対し、所定の税額控除を認めるという制度です。

この制度は、平成30年3月31日までに開始する事業年度までが期限となっていますので、早いうちから適用を考えたい制度です。

要件が緩い所得拡大促進税制

所得拡大促進税制の優れたところは、他の政策減税に比して、適用要件が厳しくないため、実に幅広い企業が対象になる、ということです。

所得拡大促進税制と比較される制度として、雇用促進税制があります。雇用促進税制は、新規採用を増やした企業などに、採用した人数に応じて所定の税額控除を認めるという制度ですが、この制度は風俗営業等を営む法人には適用されません。

一方で、所得拡大促進税制は、このような業種の制限はなく、青色申告を行う法人であれば、所定の要件を満たすことでその適用を受けることができます。

具体的にはどんな要件?

所得拡大促進税制は、下記の3つの要件を満たす事業年度において適用することができます。

要件① 給与等の支給額が基準年度(平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます)と比較して一定割合以上増加すること
要件② 給与等支給額が前事業年度を下回らないこと
要件③ 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を超えること

用語が少し難しいですが、従業員に対する給与について、実額ベース及び平均ベースで増加していれば、適用対象になる可能性が大きいです。

詳細につきましては、経済産業省のパンフレット(PDF)をご覧ください。

所得拡大促進税制と雇用促進税制は併用できないのでご注意を!

一点、誤解が大きいところですが、所得拡大促進税制は雇用促進税制とダブルで適用することはできません。新規採用を行う企業であれば、賃上げも行うことも多いところ、両方の要件に該当することも多いですが、どちらか一方を選択して適用することになります。

この場合の注意点として、所得拡大促進税制は事前の手続きは必要ありませんが、雇用促進税制は事前にハローワークに届出をしておかなければ適用できないということが挙げられます。

届出さえすれば、確定申告の際どちらでも選択できますので、要件に該当すると見込まれる際は、雇用促進税制の届出については失念しないよう、注意する必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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