HOME > 法律コラム > 交通事故でドライブレコーダーは証拠として使えるの?!証拠能力は高いの?!
近年、ドライブレコーダーが普及し始めている。
元々、ドライブレコーダーはタクシーの防犯や交通事故対策で装備するケースが多かったが、個人でも利用する方が増えている。動画投稿サイトでも、ドライブレコーダーで録画された交通事故の映像がアップロードされ、大変な反響を呼んでいるのはご存知だろうか。
しかしこのドライブレコーダー、本当に役に立つのだろうか。
そもそもドライブレコーダーの映像が証拠として認められるのかどうか、また認められるとするならば証拠能力はどれほどのものだろうか。今回は、この問題について松永大希弁護士に話を伺った。
それでは早速、ドライブレコーダーが証拠として使用できるかどうかを伺ってみた。
「裁判において、ドライブレコーダーの映像を証拠として使用することは可能です」(松永大希弁護士)
「ただ、実際には、映像そのものではなく、映像から切り取った画像を証拠として提出することが多いように思います。また、裁判の相手方から『画像の切り取り方が作為的である(有利な部分だけを作為的に抜き出している)』等の主張がなされる可能性があることから、映像のデータのコピーも併せて提出することもあります」(松永大希弁護士)
証拠として提出可能ではあるが、一部のみの提出では作為的だと主張されることも有り得ると松永大希弁護士は言う。この場合、自分にとって不利となるかもしれない映像も録画されているならば、そもそも提出自体に慎重な判断が求められるだろう。
では次に、証拠能力としてはどうだろうか。
「他の証拠との兼ね合いから有力な証拠かどうかが決まりますので、一概に『有力な証拠になる』と断言することはできません」(松永大希弁護士)
他の証拠とは具体的にどのようなものがあるのだろうか。
「交通事故が発生した場合、運転者には警察への報告が義務付けられています(道路交通法72条1項)。そして、警察によって、実況見分が行われ、実況見分調書(物損の場合は、物件事故報告書)が作成されます。事故態様(過失割合)が問題となる場合には、実況見分調書が証拠として重要な位置を占めます」(松永大希弁護士)
警察による実況見分調書が、証拠として重要であり、それとの兼ね合いによってドライブレコーダーの証拠能力に影響を与えると松永大希弁護士は言う。
「ただ、一方の運転者が事故による怪我等により実況見分に立ち会うことができないこともあり、もう一方の運転者からの聞き取りのみで調書が作成されてしまう可能性もあります。このような場合に、実際の事故態様を立証するためにドライブレコーダーの映像が有力な証拠となることもあります」(松永大希弁護士)
これは非常に重要な事だろう。例えば自分が被害者として、病院に搬送され実況見分に立ち会えず、加害者のみに聞き取りを行った場合を想定してみよう。加害者が、赤信号だったことを青信号と嘘をつかれる可能性も否定出来ないのである。しかし、そのような場合でも、ドライブレコーダーに残った映像が、決定的な証拠として役に立つことは間違いない。
警察も推奨するドライブレコーダー。勿論、交通事故に巻き込まれないことが一番ではあるが、不幸にも事故に遭ってしまったら、こうした録画映像が自らの正当性を証明してくれるだろう。ちなみにドライブレコーダーは、いわゆる「当たり屋」への予防策としても非常に効果があることも最後に付け加えておきたい。