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父と子の関係を決定するのは、法律か?科学的根拠か?

今月17日、北海道・関西・四国で起きた3件の訴訟について最高裁は、【民法772条で、妻が婚姻中に妊娠した子は、夫の子と推定する。】との定めにより、DNA鑑定により父と子の血縁関係が科学的に否定されても、法的に父子関係を取り消すことが出来ない、と初判断を示した。

この報道により、衝撃、疑問と納得、この事例だけでは判断することは困難な議題であると感じた国民は、筆者だけではない事と思う。

妻の不倫を疑った夫が二卵性双生児の子供のDNA鑑定を行い、それぞれ父親が別人であることが判明

突然だが、こんな事例をご存じだろうか。

2012年2月1日、兼ねてより妻の不倫を疑っていた夫が、3歳となる我が子(二卵性双生児の男児)のDNA鑑定を行ったところ、兄弟の父親がそれぞれ別人であることが判明した。
一人は確かに夫との子であったが、もう一人は妻が以前より交際していた男性、つまり不倫相手との子であり、容姿も不倫相手に似ていたという。

にわかには信じがたい話だが、『事実は小説よりも奇なり』の言葉通りれっきとした事実である。

結局実子のみを引き取り、もう一人の子は施設へ

このように、母親が複数の男性の子を同時にお腹に宿す事を、『同期複妊娠』という。

女性が1回の生理周期で2度の排卵があったうえで、短期間で複数の男性と関係をもった際に非常に稀ではあるが起こり得ることだという。

理屈は通っているが、倫理的に頭の痛くなる事、この上ない話である。

結果的に、夫が実子のみを引き取り、もう一人の子は施設に預けられたという。

この夫の行動にも賛否両論があったが、誰も責めることなどできないであろう。

夫婦にどんな事情があろうとも、成人した男女の無責任な行動が、子の人生を過酷なものへと導いただけでなく、関係者の誰にも幸福を招かぬ結果となった。

なぜ片親世帯が増加しているのか

ところで、最近では片親世帯も増え、一人で育て、子と共に生きていくという選択をしやすい世の中に向かっていっていると言える。

一般的に社会的弱者とされる方に対応策を提供するという我が国の動向は無論、国民として賛成する事ではあるのだが、どうしても一つの疑問が残る。

では何故、片親世帯が増えているのか。
片親という形になる前に、何かそれを防ぐ手立てはないのか。

夫婦喧嘩は犬も食わないので、筆者も食したくはないし、各々夫婦の事情だと言われればそれまでなのだが、子を持つ夫婦においては、それで終始納得できる限りではない。

母を知らぬ、父を知らぬ、子が増えているのは、どの方面をとっても子に多大な影響を与えており、離婚という形で子に夫婦というものを教えてしまう事は、非常に残念である。

子供から見る親と、親から見る子供のそれぞれの視点の違い

親の敷いたレールを生きていくといのは、筆者の信条には反する事ではあるが、やはり親の用意した環境で成人するまで生きていかなければならないというのは、いつの世も子としての常であり、それが親子関係というものである。
だが、それを過信している夫婦が多いことも事実だ。

子は親の所有物、なんて傲慢な考えを持ち続け、親の都合で子を振り回すことはあってはならない。

子は常に成長し続けているし、親が想像する以上に自我というものがある。

子の自我を突き付けられた時に、飼い犬に手を噛まれた、と被害妄想している親は、自らの死に目にその子は会いに来てはくれないであろう。

冒頭の事例に戻ってみるのだが、父親に引き取られた子にも、施設に預けられた子にも、どうか自分自身で運命を切り開いていく強さを持ち、温かい笑顔の溢れる家庭を今度は自らの手で築いていってほしいと願うのみである。

執筆  肉丸屋バブ吾郎 Blog Twitter