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「保険ないけどいいよね?」堂々と言ってくるブラック企業の面接。こんな時どうすればいい?

退職後のトラブルで非常に多い、雇用保険未加入問題。
雇用保険は、失業時、次の仕事が見つかるまでの生活安定と就職活動の円滑化を狙いとした大事な給付金であり、別名失業保険とも呼ばれている。つまり未加入となると、失業手当が支払われないということになりかねないのである。

事業者には、雇用保険に限らず、労働者の最低限の保障となっている労災や社会保険への原則加入義務がある。しかし、社会問題化しているブラック企業の中には、採用面接時に保険に加入できない旨を告げて、それでも働く気があるかどうかの意思確認を行っているところもあるようだ。つまり、加入しないのは本人の意思であり、事業者としての責任を回避しようとしているのだろう。

今回はこれらの問題について飛渡貴之弁護士に伺ってみた。

未加入の事業者には懲役も有り得る!

まずは、加入義務を怠っている事業者にはどんな罰則があるのだろうか。

「法律上の罰則として、懲役と罰金があります」(飛渡貴之弁護士)

健康保険法208条と厚生年金保険法102条では6ヶ月以下の懲役、または50万円以下の罰金。雇用保険法83条では6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金となっている。

まずは給与明細で加入しているかどうかすぐにチェック!

各種保険に加入しているかどうかは給与明細を見ればすぐに分かることはご存知だろうか。多くの給与明細には「控除」(引かれるお金)という項目に各保険が明記されている。もしも給与明細を発行してくれない会社であれば、まずは給与明細を発行してもらうようにお願いしてみよう。
ではもしも、未加入が発覚した場合はどうすればいいだろうか。

「労働保険が未加入であれば、労働基準監督署に、社会保険が未加入であれば、年金事務所に申告することができます」(飛渡貴之弁護士)

加入義務を怠っている事業者には、その時点で是正が入るようだ。

「保険ないけどいいよね?」なんて会社はこちらからお断り!

しかし、中には加入義務があることを知りながら、会社として保険の負担を節約するために敢えて加入していない、悪意のある事業者も存在する。そんな事業者は採用面接時に、保険に加入できないことについて問題がないかどうかの確認をしているところもあるようだ。

「そのような会社が、すんなり保険を支払ってくれるとは思えません。そんな会社には、入社をしないようにしてください」(飛渡貴之弁護士)

ごもっともである。法律上、立場的に弱い労働者には様々な保護がなされているが、未然に問題を防ぐことができるかどうかは、やはり自身の対応によるところが大きい。
採用面接は、自社に相応しい人材かどうかを企業が判断するという反面、応募者がその企業を見極めるためのものであることも忘れてはならないだろう。

取材協力弁護士  飛渡貴之 あい湖法律事務所 Blog
滋賀弁護士会所属。大学卒業後にメーカーにて企画開発に5年携わる。その後、一念発起して土地家屋調査士、司法書士、弁護士の資格を取得し独立開業。一般企業での勤務経験によって得られた「お客様目線」を忘れずに、親しみやすい弁護士であることを心がけています。土日祝日も対応可能。