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【社会人必読】仕事でミスをして会社に損害を出した場合、従業員の法的責任は?

ミスは誰だって有り得るもの。
そのミスを反省して、次に活かせばいいだけなのだが、たった一度のミスが会社に多大な損害を与えてしまうこともあるだろう。
その場合、会社からその損害全部を補填するよう要求されるかもしれない。
こんな時に慌てずに対応するためには、そもそも業務上のミスで損害を与えた場合の従業員の法的責任について知っておくべきだろう。
今回は井上義之弁護士に伺ったみた。

そのミスを予測しつつも回避するための注意や行動を怠っていなかったかが重要

まずは前提として、業務上のミスとして誰もが一度はあるだろう「遅刻」に絞って話を進める。つまり遅刻が原因で、会社に損害を与えたという設定である。

「遅刻について、その従業員に落ち度がない場合、従業員が会社に対して損害賠償責任を負うことはありません。これに対して、落ち度がある場合、債務不履行又は不法行為として損害賠償責任を負うことがあります」(井上義之弁護士)

つまり、そのミス自体に、過失が含まれているのか、またどれくらい含まれているのかが重要ということだろう。ちなみに過失とは、ある事態を予測することができたにもかかわらず、その注意を怠ったり、回避するための行為を怠ることを言う。

そのミスに、自分の落ち度が一切ないならば、責任は問われない!

「もっとも、従業員のミスによって生じた会社の損害を全て従業員が負担しなければならないとすれば、会社に比べて資力に乏しい従業員にとって酷ですし、事業上のリスクはそれにより利益を得ている会社が負担するのが原則です。そこで、従業員が業務上会社に損害を与えた場合、故意による場合を除き、その損害賠償責任は制限されると解されています」(井上義之弁護士)

確かに、従業員の立場からすれば、全責任を取らされるのは納得がいかないというのが正直に思うところだろう。しかし、従業員に対する、損害賠償責任は具体的にはどのように制限されているのだろうか。

「この責任制限の検討にあたっては様々な事情が考慮されます。具体的には、従業員の地位・職務や会社のリスク防止措置の有無といった事情のほか、従業員の落ち度の内容・程度も考慮されます」(井上義之弁護士)

「従業員に重大な落ち度がない場合には、他の事情も影響しますが、会社からの損害賠償額が軽減されたり、会社からの損害賠償請求が認められないのが一般的です」(井上義之弁護士)

まずは謝罪をすることが重要!

ミスをした場合、落ち度があってもなくても、自分が起こしたミスであるならば、まずは謝罪が必要だろう。その時点で、問題が収束する可能性も決して低くない。

しかし謝罪だけでは済まずに、会社が損害賠償の責任を負わせようとするならば、どこまで賠償するかどうかを話しあえばいいだけである。

ちなみに謝罪したこと自体が、自分に責任があるということを認めるわけではない。つまり謝罪と賠償額は別問題ということである。

話し合いだけで解決できない、あるいは賠償額に納得がいかない、全額賠償をさせようとするなどといったことがあれば、弁護士などの専門家に相談することをオススメしたい。

取材協力弁護士  井上義之 事務所HP
第一東京弁護士会所属。主な活動歴「文部科学省 研究開発局 原子力課 原子力損害賠償紛争和解仲介室 主任調査官」「関東財務局 関東経済産業局 中小企業経営革新等支援機関」「第一東京弁護士会 労働法制委員会」などその他多数あり。趣味は60カ国以上を訪問してきた旅行(南極大陸も経験あり!)、キリマンジャロやヒマラヤなども経験済の登山、その他スポーツ全般。取扱分野は幅広く、依頼者のあらゆる要望に応えるために、他の士業とも連携し迅速対応を心がけています。

ライター 大田タケル Twitter Blog

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