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横領した社員を訴え勝訴!でも回収できなかった場合の損害はどうなる?経費になるの?

横領が見つかった場合、税務的にも会社には大きなダメージがあるわけですが、そのダメージを補填することは極めて困難です。このような不祥事を起こした者を会社が訴えて勝訴したとしても、遊び金に消費しているようなことがほとんどですから、その損害の全額を回収することは極めて難しいことが通例だからです。

訴えても、お金を回収できない場合、税金の計算上は貸倒損失が認められるか、という問題が発生します。

非常に厳しい貸倒損失

以前、本コラムでも取り上げましたが、法人税は債権の貸倒れによる損失の計上に、非常に厳しいです。横領という特殊性はあるものの、先の損害賠償金の未回収部分についても、困ったことに同等の基準で貸倒れが認められるかを判断することになっています。

客観的に全額の回収不能が明らかでなければ貸倒損失の計上が認められないのが原則であるところ、例えば数千万円もの横領を行った横領者が毎月少しずつでも返済する、と約束したのであれば、全額が回収不能とはいえませんから、貸倒損失は認められないことが通例です。

内容証明郵便などを送付して債務免除してから貸倒損失を計上する、という取扱いも考えられますが、横領者に債務免除することは心情的に難しいでしょうし、何よりわずかでも回収できるのであれば回収する、というのが合理的な経営判断と考えられます。

リスクもある債務免除

とりわけ、安易に債務免除を行うと、「返済できる状態にあるのに、敢えて借金を免除したため、お金を贈与したこととなんら変わらない」といった指導を税務署から受けることがあります。

このようなお金の贈与は、原則として経費が制限される寄附金になり、場合によっては、横領者が元社員、ということで、お給料を払ったことと変わらない、といった認定が税務署からなされることもあります。

このため、本当に回収見込みがなく、債務免除しなければ更なる損失を会社が受ける、といった事実関係が必要になります。

内部けん制は会社の責任

会社に責任がないにもかかわらず、横領に対して法人税は厳しすぎる、という印象をお持ちの方も多いと思います。しかし、横領が発生するということは、それを許す風土が会社にあることも事実です。

従業員を雇う以上、内部けん制の充実は最低限の会社の責任と理解する必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by GotCredit

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