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会社の節税対策における万能ツール「役員退職金」の絶妙な金額設定方法をプロが解説!

中小企業同族会社の節税を考える上で、避けて通れないものが役員退職金です。役員退職金は、会社において大きな経費となることはもちろん、分離課税等の有利な仕組みが採用されていますので、退職金をもらう個人にとっても大きな節税になります。

加えて、同族会社であれば、株式に対する相続税などの問題が発生します。相続税などの対象となる株式の金額は、会社の利益に比例しますので、相続税など株式に係る税金を減らすためにも、役員退職金は広く使われます。

「いくら出すか」が重要な役員退職金

役員退職金は、所得税、法人税、相続税など、会社に係る税金について大きな節税となる万能ツールですが、問題になるのはいくらまで出せるか、ということです。役員退職金というくらいですから、相当に巨額な金額を支出することが多いところ、あまりにも巨額であるとなるとその金額の一部を経費にならないとして税務署は否認することができます。

このため、役員退職金として経費となる金額(適正額)が実務では問題になります。

「平均功績倍率法」が一般的

この適正額について、実務においては、下記の平均功績倍率法によって算定することが通例です。

(適正額)=(最終報酬月額)×(勤続年数)×(平均功績倍率)

この平均功績倍率について、決まった倍率はありません。あくまでも目安ですが、実務では退職した役員の職位ごとに下記のような倍率を使うことが多いようです。

社長:3.0
専務:2.4
常務:2.2
平取締役:1.8
監査役:1.5

目安にすぎませんので、これと同じ倍率を使う必要はありませんし、同じ倍率を使ったとしても、高すぎると税務署から問題視されることもあります。

退職金は計画的に!

平均功績倍率法において、最終報酬月額は、納税者の方で決定することができます。ただし、退職する直前に役員報酬をアップさせるようなことをすると、税務署から問題視される可能性が大きいです。

このため、将来の役員退職金の支給を見据えて、もらいたい金額とその支給時期から逆算し、徐々に役員報酬を上げていきましょう。

役員退職金は金額も大きいですから、税務署も厳しい目を向けます。税務調査で余計なリスクを抱えないよう、支給するための計画をしっかりと練る必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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