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今では当たり前となった弁護士広告。そもそも何故禁止されていた?自由化された理由は?

2000年に弁護士の広告自由化が決まった。
それ以降、電車内やチラシ、インターネットなど、あらゆるメディアを通して、目にしない日はない弁護士の広告。
以前、「弁護士に広告はふさわしくない」と言われていたほどだが、今となっては、このフレーズを耳にすることはなくなった。むしろTVCMを出す法律事務所もあることから、この傾向は益々強くなっていくのではないだろうか。
結果論ではあるが、これほど広告に力をいれて、集客しようとする法律事務所があったにも関わらず、どうして弁護士は広告を禁止されていたのだろうか。この理由について鈴木翔太弁護士に伺った。

弁護士の「品位」を損なう可能性があるとされていた広告

早速であるが、弁護士が広告を出してはいけない理由を伺った。

「従前、弁護士倫理第8条において、弁護士の広告は全面禁止されていました」(鈴木翔太弁護士)

「その理由は、弁護士は公共的な奉仕者であって、個人的な利益追求者と異なり、依頼者獲得の競争をするために広告することは弁護士の品位を低下させ、さらには弁護士に対する国民の信頼の念を失わせると考えられていたことによるようです」(鈴木翔太弁護士)

弁護士にとっての依頼者、つまりお客様とは、いわゆる法的なトラブルを抱えた方である。広告を使って困っている人を集客することによって、次第に自らの利益だけを追求するような法律事務所が出てくる可能性があったということだろう。その事自体が、弁護士にとってよくない、つまり品位の低下を招くということが理由かもしれない。

「品位の低下を招く」とされていた広告が、どうして解禁されたの?

では品位を落とす可能性があるとされていた弁護士の広告が、解禁された理由とはなんだろうか。

「(1)弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とし、法律事務を独占していることからすれば、国民が弁護士制度を十分に利用できるようにすべき責務を負っていること」(鈴木翔太弁護士)

「(2)広告は弁護士の表現の自由、職業選択の自由に属することから本来自由であるべきであるところ、品位の維持という送り手である弁護士側の利益に重点が置かれ、弁護士情報を国民に十分提供するという受け手側の利益に対する視点が欠けていること等の理由から、全面禁止が見直されることになりました」(鈴木翔太弁護士)

弁護士を必要とする方々に、正しく等しく弁護士の情報を送り届ける手段としての広告は、必ずしも全てが悪いとは言えないのではないか、ということだろう。

広告を出している事務所が良い事務所とは限らない

弁護士は人数が増えたことによって、その分収入が減っていると度々ニュースになっている。
しかし広告を出せるほど経済力がある弁護士が存在することを考えると、弁護士にも収入格差が出てきているのかもしれない。

この傾向は益々強くなっていくのかもしれないが、広告を出せることと弁護士としての腕の良さは必ずしも比例するわけではない。中にはホームページすら持っていない弁護士もまだまだ沢山いる。では何故ホームページすら持っていないのか、それはそもそもホームページを持たなくても、常に仕事があるという見方もできるのではないだろうか。

弁護士を探すときは、その弁護士が広告を出しているのか?また出しているのはどうしてか?ということに着目するのも面白いかもしれない。

取材協力弁護士  鈴木翔太 事務所HP
東京弁護士会所属。主に離婚、相続問題、労働問題、交通事故、借金問題、刑事等に幅広く対応。また趣味もフットサルやテニス、マラソン、旅行、食べ歩き、散歩等とても幅広く、緊張することなく共通の話題を通して、まずは信頼関係を構築することに注意しています。