HOME > 法律コラム > 誰が何度聞いても到底理解しかねる、暴力団への上納金が非課税になる理由とは?!
先日、福岡の指定暴力団に対し、所得税法違反で逮捕されるというニュースが広く報道されました。
この報道のなかで、暴力団とPTAの課税関係は同様になるという指摘がなされています。
社会的には、両者は全く異なるものであるのに、税金は同じ扱いを受ける、という信じられない状況がここにはあります。
法人税は法人に対する税金ですが、法人以外の団体にかかることがあります。任意団体と言われる、人格のない社団等がこれに該当します。
人格のない社団等とは、学校のPTA、研究会やクラブ、労働組合、マンションの管理組合など、実質的には個人とは言いがたい団体ではあるものの、所定の要件を満たさないため法人として登記できない団体を言います。
税金は、実態に応じて課税するという考えがありますので、このような団体に対しては、個人として税金をかけるのではなく、法人とみなして課税することになっています。
人格のない社団等は、一般には利益を追求する団体ではなく、むしろ公益的な活動を行う団体です。このため、法人税の世界では、公益法人とほぼ同様の課税関係とされています。
公益法人は、営利目的事業と認められる、所定の事業(収益事業)を行う場合に限り、法人税が課税されるとされています。公益法人は一般的に利益を追求しませんし、利益を得てもそのお金は社会貢献のために活用するということが通例です。このため、収益事業を行わない限り、法人税はかからないのです。
人格のない社団等に対しても、同等の考え方で収益事業課税されていますが、ここで問題になるのは暴力団も人格のない社団等に該当する、ということです。
公益法人や人格のない社団等について、原則として維持費に充てるための会費は、収益事業に当たらないため非課税となります。このため、報道によると、暴力団の運営のために集められた上納金も「会費」と同じ扱いとされ、これまで課税されることはなかったと指摘されています。
公益とは言いがたい暴力団の上納金も非課税とされるというのであれば、納税意識は下がります。税務署は警察とは異なり、強行的な捜査が難しいためこのような事態が今まで是正されなかったと言われていますが、どうにも納得できない話です。