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吉本興業やシャープが中小企業となった今、この先に起こり得ることとは?

会社にとって大きな負担となる法人税ですが、中小企業を支援するという目的から、中小企業には大きな特典が設けられています。一例を挙げると、以下のようなものです。
(1)法人税の軽減税率の適用(所得金額年800万円まで)
(2)交際費が800万円まで全額経費
(3)過去の赤字を100%相殺(欠損金の繰越し)
(4)外形標準課税の適用がないため、赤字なら事業税はかからない

大幅な減資が意味するもの

法人税の世界において、中小企業は資本金1億円以下の企業とされています。

先日、吉本興業やシャープといった中小企業とは言えない企業が、資本金を1億円以下にするというニュースが報道されました。報道にもありましたが、これは中小企業の特典を活用することが目的と思われます。従来、資本金を減らすという露骨な節税はあまり目にしませんでしたが、どの企業も経営状況が厳しいということでしょう。

一般的には、資本金は会社の規模を表すもの、と言われますが、上場企業など株主が多い会社は別にして、同族会社であれば資本金の額は簡単に操作することができます。このため、資本金の金額からは考えられないほど大きな売上がある会社は、実はかなり多くあります。

中小企業税制の見直し

資本金という操作が簡単な金額で、法人税などの優遇を受けられるかが決まってしまうのは公平とはいえませんので、問題があります。このあたり、財務省も十分に理解しているようで、1億円という資本金の基準についても見直しがなされる可能性があると言われています。

詳細はまだ分かりませんが、売上金額や利益金額、従業員の数などの法人の実態を見て、中小企業に該当するかどうかを判断することになると思われます。

法人税の引下げも実現した今だから

増税の改正を行う場合、与党の支持率などに大きな影響がありますから、世論に配慮する必要があるといわれます。ただし、昨年度の税制改正で法人税率の引下げが実現したところ、税収の落ち込みをカバーするためにも増税が必要ですから、このような改正が実現する可能性は極めて大きいと思われます。

事実、先日の報道によると、来年度改正においては政策減税につき抜本的に見直すよう財務大臣が指示したとのことでした。このため、来年度改正はかなり厳しいものになりそうです。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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