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互助会の会員規約に途中解約の違約金が明記されていたらどうすればいいか弁護士に聞いてみた!

2012年1月に国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来人口推計を発表した。
そこでは2010年時点の人口1億2806万人が、50年後の2060年には8674万人になると書かれている。死亡人口は2039年にピークとなる166万人に達し、その後も一定水準以上に死亡人口は増加していくとのこと。

人口減少が経済に与えるマイナスインパクトは非常に大きいが、その一方でプラスのインパクトとして働く唯一の業界とも言えるのが葬祭ビジネスである。
会員による積立で葬儀を執り行う冠婚葬祭互助会、地域密着型の葬祭専門業者、更に現在はインターネットで低価格を訴える仲介業者も増えている。

そんな、今後の見通しが明るい葬祭業界に、大きな衝撃を与える一つの裁判結果が今年の1月に大々的に報道された。
それは冠婚葬祭互助会会員の解約による違約金が原則無効であると下されたのである。

今回は、もしもご自身が加入している互助会の会員規約に、途中解約の解約返戻金を制限する条項があった場合、どう解釈すればいいかを大木秀一郎弁護士に寄稿していただいた。

 

平成27年1月に最高裁において、会員制の冠婚葬祭業者と会員との間の契約の途中解約の場合における解約返戻金を制限する条項を無効とした大阪高等裁判所判決に対する冠婚葬祭業者側の最高裁への上告受理申立が不受理とされた結果、大阪高等裁判所判決が確定しました。

同高裁判決の射程自体は厳密にいえば問題になりうるとは思いますが、同種の事案において各裁判所が間違いなく参考にすると思いますので、同高裁判例を基準として説明をさせていただきます。

まず、同裁判例の事案で問題になったのは、冠婚葬祭互助契約の解約の際に、解約手数料を控除した金額のみしか返済をしないという条項です。

この点について、消費者契約法第9条1項1号により無効とならないかが、大阪高等裁判所及び第1審である京都地方裁判所において争われました。

この点、第1審の裁判所は、消費者契約法第9条1項1号の「平均的損害」の解釈について、消費者一人が冠婚葬祭互助契約互助契約を解約することによって事業者に生じる損害を検討すべき旨判断しています。
そのうえで、掛け金1回あたりの銀行振替費用のみを平均的損害とする趣旨の判決が下されました。

高裁では同費用の他に通知費用等も認める判決が下されています。

では、どのように考えればよいでしょうか。

同高裁判決が確定したことにより、仮に約款や契約書等に解約返戻金を制限する条項があったとしても、同条項における解約手数料等が冠婚葬祭業者に生じる「平均的損害」を超えるような高額の場合には、消費者契約法第9条第1項1号に反するとの判断が裁判所においてなされることになると推察されます。

解約手数料の金額が上記費用程度にとどまらないものである場合には、解約返戻金を制限する条項は無効と判断される可能性が高いと推察されます。

執筆  大木秀一郎 事務所HP
横浜弁護士会所属所属。湘南平塚法律事務所代表弁護士。麻布高等学校卒業。東京大学法学部私法コース卒業。主に交通事故(被害者側)、相続、不動産、顧問業務、借金問題、その他被害者側の損害賠償請求を専門としています。