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タックスヘイブン税制で個人に追徴課税!ミスは許されないので確実な対応を

シンガポールや香港などのタックスヘイブンに会社を作ると、タックスヘイブン税制という制度により、その会社の留保利益に課税されることがあります。

これは、タックスヘイブンを利用した租税回避を規制する法律です。
このため、租税回避目的とは認められない所定の実態(適用除外基準)があれば、タックスヘイブンに会社があったとしても、原則としてこの制度は適用されないとされています。
※適用除外基準の詳細は、こちらをご参照下さい。

適用除外のためには書類を提出する必要があるが…

適用除外要件を満たす場合、その旨を記載した書類を確定申告書に添付することで、タックスヘイブン税制の適用が原則なくなります。このため、添付を忘れなければ問題はありませんが、個人の確定申告についてこの添付もれが非常に多いという印象があります。

タックスヘイブン税制は、法人が会社を作った場合だけではなく、個人がタックスヘイブンの会社の株式を保有している場合にも適用されます。このため、株式を持っている個人は、タックスヘイブン税制の対象になる可能性がありますので、対象になるかどうか内容を検討しなければなりません。

対象になれば、適用除外要件に該当するかを確認し、該当するのであれば書類を申告書に添付することになるわけですが、この書類の添付を失念してしまうと、後日税金を追徴されることになります。

昨年から提出義務となっている国外財産調書で適用除外書類の提出漏れが発覚

法人は別にして、個人はタックスヘイブンに会社を作るといったことが多くありませんから、税理士も失念してしまうことが多いと言われます。従来と異なり、現在は所定の個人は国外財産調書を提出する義務がありますので、タックスヘイブンの会社の株式など、持っている国外財産の内容を国税は容易に判断することができます。

このため、書類の添付もれがあれば、簡単に見つかってしまいますので注意が必要です。

しかも後出しは認められない!

適用除外基準に係る書類については、確定申告書に添付しておく必要があり、後日税務署に提出したからと言って原則許されません。

「やむを得ない事情」があれば後出しもOK、としていますが、国税はこの「やむを得ない事情」を基本的に認めませんので、ミスは絶対に許されないと考えておく必要があります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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