HOME > 法律コラム > 【税務調査対策】修正申告は納税者の当然の権利!取下げ依頼にはご注意を!
税務署が税務調査に入る前に、自主的に修正申告を提出して間違いを是正すれば、ペナルティーに当たる加算税はかかりません。このため、税務調査の連絡を受けてから、実際に税務調査に入る前までに申告の内容を見直して、誤りがあれば修正申告書を提出すべきと言われています。
しかし、加算税を取れないと、国税としては面白くないからでしょうか、最近の税務調査では、税務調査に入る前に出した修正申告書を取り下げて下さい、といった指導がなされることが多いようです。
このような指導に従ってしまうと、修正申告書を提出した事実がなくなってしまいますから、原則の通り加算税は課税され、大きな不利益を被ってしまいます。
修正申告書の提出は、納税者の権利と言われます。自主的な反省を促進して、国税に余計な手間をかけないために設けられた制度なのですが、その権利行使を否定しようとする調査官がいることに、元税務職員としても驚きを隠せません。
常日頃から思っていることですが、調査官は課税の公平ではなく、税務調査で追徴する税金の金額に関心がありますから、このような暴挙にも打って出るのでしょう。
過大に申告した税金は、法律上更正の請求という手続きでしか返せないことになっています。申告書の取下げが認められるとなると、いつでも過大納付した税金の返還を請求できることになりますから、申告書の取下げは法律的には原則として認められません。
その他、税務署のシステムにおいても、申告期限前は別にして、申告期限後に出す申告書の取下げは基本的に認められないことになっています。申告書を提出すれば、納税の義務が発生しますので、実際に税金を納税させる徴収部門が動きます。申告書を任意に取り下げられるとなると、徴収部門の仕事に大きな支障が出ますので、取下げは基本的に認められないことになっているのです。
近年の裁判例を見ると、税務調査前に、申告内容に誤りがあることを自白したようなケースについても、自主修正が認められています。このため、調査に来られる前であれば、自主修正は原則として認められるのです。
自主修正は納税者の権利なのですから、税務署の誤った指導に従って、その利益を手放さないよう注意する必要があります。