HOME > 法律コラム > 授業中のお漏らしが原因でいじめられた!配慮不足の先生に責任は問える?
「お腹下した…。何が原因だろう。朝食かな?トイレに行きたいけど恥ずかしくて言えない」ーー誰もが一度はこんな経験をしたことがあるだろう。しかし、ここから更に一線を超えた経験がある方となるとそう多くはないと思うがどうだろうか。
素直に「トイレに行っていいですか?」と言えるなら、最初から言っているだろう。かといって「具合が悪いので保健室に行っていいですか?」と機転を利かせる程の余裕はない。しかしそんなことを考えている間に、刻一刻と限界が近づく。もしもそんなタイミングで「大丈夫?」と、明らかに様子がおかしい生徒を気遣って、先生から声を掛けてきてくれたら、きっと当事者としては嬉しいだろう。
では今回は、そんな配慮が足りないばかりに生まれた悲劇の後、それを理由にいじめられた場合、その先生に責任を問うことができるかどうかを峯岸孝浩弁護士に伺った。
「確かに『男子であれば学校で大便をするとからかわれる』、『授業中にトイレに行くと申告するのは恥ずかしい』という理由から、トイレに行きにくいこともあるでしょう」(峯岸孝浩弁護士)
峯岸孝浩弁護士もこの状況の難しさを理解してくれていることが伺える発言だ。では早速、先生の配慮が足らずに生徒が授業中におもらしをし、その結果いじめられた場合、学校に責任を問うことは出来るのだろうか。
「しかしながら、学校では授業の合間に休憩時間がありますので、トイレに行く時間はあります。また、授業中であっても、先生は、生徒がトイレに行くのを禁止していないはずです」(峯岸孝浩弁護士)
「したがいまして、生徒はトイレに行ける状況にあるでしょうから、生徒が漏らしたことによりいじめられたとしても、直ちに学校側の責任を問うのは難しいと思います」(峯岸孝浩弁護士)
「もちろん、学校側はいじめにならないよう努力すべきですけどね」(峯岸孝浩弁護士)
責任を問うことは難しいとのこと。ではお漏らしではなく、我慢し続けた結果、膀胱炎にかかった場合、治療費を学校に請求することは可能だろうか。やはり上記同様に難しいだろうか。
「この場合も、学校側の責任を問うのは難しいと思います。先ほど述べたとおり、生徒はトイレに行ける状況にありますからね」(峯岸孝浩弁護士)
起こってしまったことはどうすることもできない。問題はその後のフォローだ。
落ち込んだ本人に優しい言葉をかける。ご家庭にその時の状況を詳しく説明する。本人の性格を考慮して、場合によっては家庭に報告したことを秘密にする必要もあるかもしれない。そして、最も肝心なのはクラスメイトにからかわれた場合、その生徒にはしっかり指導をいれることだろう。