法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 収入印紙をよく使う建設・不動産業界必見!印紙税の還付と税務調査対策とは?

このエントリーをはてなブックマークに追加

収入印紙をよく使う建設・不動産業界必見!印紙税の還付と税務調査対策とは?

契約書や領収書に貼る印紙は、印紙税という税金を納めるために貼るものです。印紙税も税金である以上、還付が認められることがあります。具体的には、以下の3つの場合です。

(1) 貼る必要のない文書に誤って印紙を貼った場合
→ 建物の賃貸借契約に印紙を貼った場合など
(2) 貼るべき金額を過大に貼った場合の、過大部分
→ 6万円の領収書に400円の印紙を貼った場合、200円で済むため差額の200円が還付されます
(3) 納税義務が成立する前の文書に印紙を貼った場合
→ 手渡す前の領収書に印紙を貼り、それを交付しなかった場合など

実務上、上記のいずれかに該当する場合には、税務署に印紙税過誤納確認申請書を提出することで、印紙税がお金で還付されます。(参照リンク

汚れた印紙も還付してもらえる

印紙の還付と申し上げると、商品の返品と同様、消印などした印紙は返ってこないのではないか、とお考えになる方も多いと思われます。結論から申し上げると、上記に該当すれば印紙の還付が認められますので、消印などしても問題はありません。

注意点としては、印紙を書類から剥がしてしまうと、内容が確認できませんから、印紙の還付ができないことがあります。このため、剥がさず、文書ごと税務署にもっていく必要があります。

なお、還付の対象となるのは5年間です。

納税義務成立前とは

実務上、還付請求で最も多いのは、前述した(3)の納税義務の成立前の文書です。納税義務の成立とは、原則として以下の通り判断します。

1 契約当事者双方が捺印する文書 双方の捺印時
2 領収書や請書など、相手に交付する文書 交付する時

このため、あらかじめ印紙を貼っておいた不動産売買契約書につき、買主の捺印前に契約書の間違いに気づいた場合(上記1)や、印紙を貼った領収書を相手に渡す前に、誤記してしまった場合(上記2)は、印紙の還付が認められます。

委任契約かの確認にも使える

ところで、実務上委任契約(不課税)と請負契約(課税)など、印紙税がかかるか判断が難しい文書があります。このような文書があれば、いったん印紙を貼って、過誤納申請をして税務署の見解を聞いてみるのも一つの手です。

印紙が不要な文書であれば、還付の対象になりますし、こうすることで予め税務署からお墨付きを貰えますので、印紙税の税務調査に対するリスクヘッジにもなります。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

社長、その領収書は経費で落とせます!
社長、その領収書は経費で落とせます!
詳しくはこちら