HOME > 法律コラム > 葬儀費用は喪主と相続人のどちらが負担するべきか法律で決められてるの?
本日、国民生活センターは葬儀サービスを巡るトラブルが相次いでいると発表した。そして、そのトラブルの中でも特に多いのが「高価格・料金」に関する相談とのこと。
また、近年増加傾向にある低価格をうりにした「家族葬」の相談も多いと発表しており、同センターは予算内で葬儀を執り行ってくれる葬儀社を事前に探しておくよう注意を呼びかけた。
超高齢化社会の日本は、今後死亡者数が増えることは間違いなく、それに伴い葬儀トラブルも比例して増えていくだろう。
そこで今回は、葬儀トラブルの主な原因となっている葬儀費用について、法的には誰が負担するか決まっているのかどうかを飛渡貴之弁護士に伺った。
そもそも葬儀費用の負担者として対象となりえるのは喪主、相続人が思い浮かぶが、誰が払うべきなのだろうか。
「葬儀を執り行うという葬儀契約は、喪主と葬儀社との間で、取り交わされています。その契約にのっとって、葬儀社は葬儀を執り行い、契約者たる喪主は葬儀費用を支払うことになります」(飛渡貴之弁護士)
つまり葬儀費用は、法律で誰が払うべきと決められているわけではなく、葬儀社と契約した人物ということになる。
もしも葬儀費用の未払いがあった場合、葬儀社は喪主に督促をすることになるのは当然だが、もしも喪主以外にも遺産を相続した人物がいた場合、代わりに請求することは可能なのだろうか。
「できません。葬儀費用は相続財産では有りませんから、他の相続人が支払う義務はありません。他の法定相続人は、この契約にはなんら関係ありません。」(飛渡貴之弁護士)
請求する立場である葬儀社としては頭を抱える問題だろうが、確かに葬儀を執り行うという契約を交わしたのは喪主であるため致し方ない。
葬儀費用は不透明であると言われている。また見積もり額と請求額に開きがあるとも言われている。恐らくこのことが葬儀トラブルを生み出しているのだろう。
では今すぐ出来る解決策はなんだろうか。
それは国民生活センターが呼びかけているように、生前に複数の葬儀社に実際に支払う総額を確認しておくことだ。こうしておくことで、そのための費用を貯金しておくことが可能になる。
また別の方法として、葬儀費用は遺産から捻出することを生前に遺言書で決めておくこともいいだろう。
いずれにしても亡くなった後に、葬儀費用を誰が払うのかという問題は、相続人の間でも揉める可能性があるため、生前にみんなでしっかり話し合っておくことをオススメする。