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ゴルフ会員権をお持ちの方は必読!会員権売買にあたっての課税方法が変わったことをご存知ですか?

ゴルフ会員権の売買を巡る「損失」について、国税と納税者の争いが続いているようです。
事の発端は、今年3月末で変わったゴルフ会員権に対する課税方法です。
今年3月末では、ゴルフ会員権を譲渡した時の証券代金が、購入時より安くなってしまった場合、その損失分を他の所得(給与所得や事業所得)から差し引いて税金の申告をすることができ、所得税や住民税が安くなりました。つまり、ゴルフ会員権を売買して損をした場合は、税金が得をしたわけです。

今年4月1日以降の売買した分は、損失があっても税金が減りません!

しかし、法律の改正により、今年4月1日以降に売買した分については、税金に影響を与えなくなり、損失があったとしても税金が減らなくなったわけです。

この急な改正によって、ゴルフ会員権を持つ方々はどうなったか?「売るなら今だ〜!」こう考えるのは当然でしょう。今のうちに損切りすれば税金が得するものを、将来損をしても、税金では何も救われなくなったわけですから。

改正に伴い盛り上がる仲介業者

ゴルフ会員権を持つ方々以上に反応したのは誰か?ゴルフ会員権を扱う仲介業者です。

当然でしょう。ゴルフ会員権の売買を取り扱う仲介業者は、売買が成立するから儲かるわけです。税法の改正で、損切りする人たちが急増すれば、安くゴルフ会員権を仕入れるチャンスです。

一部の仲介業者は、さらに考えたわけです。「本当は税金が得しないケースでも、得するように仕向ければ、自分たちはもっと儲かるんじゃないか?!」

法律というのは、改正されると、このように「悪用」を考える人たちが出てくるものです。そして、次のようなニュースになります。

「ゴルフ場会員権で不正還付 仲介会社が指南、破産前売却装い2千万円」

「ゴルフ場会員権で不正還付 仲介会社が指南、破産前売却装い2千万円」(2014年6月30日 産経ニュースより)

破産したゴルフ場の会員40人が、会員権の売却をめぐり所得税計約2千万円の不正還付を受けていたことが30日、関係者への取材で分かった。経営会社の破産前であれば、会員権の売却損で所得を圧縮できる制度を悪用。会員権売買仲介会社「アシストゴルフ」(東京都港区)が不正を指南していたという。東京国税局など国税当局は重加算税を含め追徴課税するとみられ、すでに一部の会員は修正申告した。

ゴルフ会員権は今年3月まで、個人が売却した際に出た損失を給与などの所得から差し引く「損益通算制度」により、所得税が還付された。だが、ゴルフ場の経営会社が破産した場合は適用外だった。

関係者によると、アシスト社は、平成22年に破産した埼玉県内のゴルフ場の会員に「破産前に売ったことにすれば還付が受けられる」などと勧誘。計40人の希望者から会員権を安値で購入した上で、売却日を破産前と偽造した書類を交付し、還付申告させていた。見返りに還付金の一部を手数料として受け取っていた。アシスト社への税務調査が不正が発覚したという。

今後も似たようなニュースが急増しそうです

本来はできないことをわかっていながら、適用できるよう装って、手数料を得ようというのですから、アクドイ業者もいるもんですね。

上記のようなニュースはまだまだこれから。今年4月に改正されたばかりですから、今後似たようなニュースが急増しそうです。

なお、今でも複数のゴルフ会員権仲介業者やゴルフ場のサイトにおいて、ゴルフ会員権の売却損で税金が得するように書かれている(訂正されていない)ものが散見されます。

要注意ですよ!

執筆  久保憂希也
1977年 和歌山県和歌山市生まれ
1992年 智弁学園和歌山高校入学
1995年 慶應義塾大学経済学部入学
2001年 国税庁入庁 東京国税局配属
東京国税局管内の税務署で税務調査を担当。
2008年 ㈱InspireConsultingを設立。税務調査のコンサルタントとして活動。
人気のセミナー講師として年間50回以上、セミナーの壇上に立つ。
著書には、「~元国税調査官が斬る~税務調査の真実」「元国税調査官が解説
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