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役員や従業員の死亡に伴う弔慰金でも節税が可能。ただし適正額を超えると?

会社の役員や従業員が事故により死亡した場合、死亡退職に伴って弔慰金を支出することがあります。この弔慰金ですが、税金の計算上も、原則としては経費になります。

具体的には、社会通念として相当の金額の範囲にある弔慰金については、その全額が経費として認められます。

適正額を超えると経費として認められない

弔慰金は死亡退職に伴って支出するものですので、相当の金額以上の金額を支出してしまうと、その金額は過大な退職金と判断されます。

役員退職金については、過大な金額は経費となりませんので、過大な弔慰金は経費にならないとされます。

適正額とは?

弔慰金の適正額については、実は明確な規定があります。

(1)業務上の死亡の場合:普通給与の36か月分
(2)業務上以外の死亡の場合:普通給与の6か月分

この金額を超えてしまうと、原則としては適正な弔慰金を超えていると判断され、経費にならないとされます。

ところで、役員が急死したため一年未満しか働いていない場合でも、この金額の範囲内であれば弔慰金を支給することが可能です。一年しか働いていないとなると、死亡退職金としてはおおむね最終報酬月額の2~3倍程度しか出せませんので、弔慰金としてもそれ以下の金額しか出せない、と思われるかも知れません。

しかし、弔慰金としてはこの金額が妥当ですので、上記のような場合であっても6か月分か36カ月分の金額を経費とすることはできる、というのが多くの識者の見解となっています。

見落としがちな大前提

このように申し上げると、死亡退職については、通常の退職金に6か月分又は36カ月分上乗せで退職金を支給できる、とお考えになるかもしれません。しかし、これはあくまでも弔慰金として支給した場合の取扱いとされていることに注意が必要です。

弔慰金として支給するわけですから、株主総会や退職金規定などで、上記の金額を弔慰金として支給することを定めておく必要があります。一例を挙げますと、「業務上の死亡の場合には、普通給与の36か月分、それ以外の場合には普通給与の6カ月分の弔慰金を支給する」といった文言を、規定に盛り込んでおくといいでしょう。

このような定めがないにもかかわらず弔慰金を支給してしまうと、その弔慰金も死亡退職金の一種、と見られる可能性があるので注意してください。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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