HOME > 法律コラム > 黒板消し落としや上履き隠しも立派な犯罪?どんな罪になるのか聞いてみた!
子供の頃に流行ったいたずらといえば、何を思い浮かべるだろうか。
インターネットを通じて行われたあるアンケートでは「輪ゴムで指鉄砲」や「朝礼でヒザかっくん」、「座る直前に椅子を引く」などの回答が目立ったとのこと。またこれ以外にも「スカートめくり」や「ピンポンダッシュ」、「牛乳を口に含んだ友達を笑わせる」、「教科書に載る歴史上の人物に落書き」、「教科書でパラパラ漫画」などもあがった。
大人になった今、これをご覧頂く方の中にも、思い出し笑いが出るほどのいたずらエピソードを持つ方もいるだろう。
しかし、そんな良き思い出となっているいたずらも、実は立派な犯罪となる可能性がある。
今回は上履き隠しと黒板消し落としの二つについて、どんな罪に問われるのか星野宏明弁護士に伺った。
では早速、黒板消し落としについて、どんな罪に問われるのか伺った。
「恐らく中学生くらいまででしょうから、そもそも責任能力がなく、犯罪にならないケースが多いでしょう」(星野宏明弁護士)
14歳未満は責任能力がないとされており、犯罪に問われることはない。ではもしも14歳以上だった場合はどうだろうか。
「14歳以上であれば、暴行罪や傷害罪、器物損壊罪に問われます。暴行罪は、人を殴ったり、蹴ったりする行為だけでなく、間接的に物理的な有形力を行使する場合も含まれますので、黒板消しを仕掛けて先生の頭上に落とす行為も、暴行罪に該当し得ます」(星野宏明弁護士)
更に刑事上の責任だけでなく、民事上の責任も生じるとのこと。
「黒板消しの罠によって、先生の衣服が汚損すれば、器物損壊罪が成立する可能性がありますし、クリーニング費用について民事上の損害賠償責任が発生することもあります」(星野宏明弁護士)
黒板消し落としが暴行罪や傷害罪、損害賠償となる可能性も…。話が少々大袈裟になってきたが、これはあくまでも子供の頃のいたずらを、法律に照らし合わせて罰する場合、どんな罪が該当するかを伺っているので、その点ご留意頂きたい。では続いて上履き隠しはどうだろうか。
「これについても、14歳未満の場合は、責任能力がないため、犯罪にはなりませんが、触法少年として家庭裁判所の審判を受けることがあります」(星野宏明弁護士)
触法少年とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年のことを言う。家庭裁判所での審判を受けるのは、刑罰法令に触れ、かつ、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けた場合に限るとのこと。
では14歳以上による上履き隠しはどうだろうか。
「責任能力がある年齢の場合は、上履きを隠すことによって使用できなくさせていますので、物の効用を奪ったとして、器物損壊罪に問われる可能性があります」(星野宏明弁護士)
「なお、窃盗罪が成立するためには、自己の所有物として本来の用法に従って使用する意思が必要とされていますので、いじめ目的で隠す場合には、窃盗罪ではなく、器物損壊罪が適用されるケースが多いでしょう」(星野宏明弁護士)
聞けば聞くほど笑っては済まされないほどの話になってきた…。
しかし、ほんの遊び心のつもりでおこなったいたずらが、結果的に大怪我に繋がるという可能性も否定出来ない。
また、いたずらといじめの境界線が曖昧なケースもあり、多感な時期でもある幼き頃となれば、精神的な苦痛によって、登校拒否にまで発展することも有り得るだろう。
いたずらとは言え、常識をわきまえた、面白いいたずらを子供たちに継承していきたいものである。