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【軽減税率】店内飲食と持ち帰りの税率の違いを専門家が解説!(松嶋洋)

平成28年度改正では、公明党の悲願と言ってもいい軽減税率の導入が決まりました。10%になる平成29年4月1日から適用されますが、軽減税率の最大のデメリットは、線引きが難しいということです。

よく言われる話ですが、ハンバーガーショップで店内飲食すると標準税率、テイクアウトにすると軽減税率と、何が何だかよくわからない状況が今後日本でも日常的にみられることになります。

軽減税率が対象となるのは二つ

(1) お酒以外の飲食料品
(2) 所定の要件を満たす、定期購読される新聞

こんなにシンプルに書かれますが、その実かなり難しい部分があります。飲食料品については、外食サービスは含まれないことになっています。先の例で、店内飲食が標準税率になる理由はここにあり、同様の理由で寿司の出前は軽減税率、寿司屋での飲食は標準税率と面倒極まりない事態が発生します。

加えて、ミスが発生しやすいものとして、ケータリングサービスがあります。ケータリングサービスは、飲食店で飲み食いするものではありませんが、料理人を派遣するということで外食サービスと大差がないとして、軽減税率の対象にはならないとされています。

持ち帰りは渡した段階でOK?

税の専門誌に掲載されていた記事ですが、持ち帰りに該当するかどうかは、販売時で見れば足りるとされるようです。「店内で召し上がりますか?」と尋ねられた際、持ち帰りでと答えれば、軽減税率でいいとされる模様です。

ただ、持ち帰ると言っても、店員の目を盗んで店内飲食することもありますし、何より飲食店としても軽減税率で提供できればそれに越したことはないわけですから、敢えて客に持ち帰りと答えさせる、といった不正行為が発生するのではと心配します。

検討が圧倒的に足りない制度

軽減税率については、このような先行き不透明感が満載ですが、政治家は混乱が生じるのは仕方がないと考えている模様です。仕方がない、という考え自体が誤りであるわけで、無責任でしょう。

本来、このような制度を入れる場合には、深く検討する必要があるのですが、自民党は公明党との利害調整を優先させ、十分な検討をしたとは到底思えません。結局、困るのは納税者という残念な結果になりそうです。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by  Dick Thomas Johnson

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