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3種類しかないと言われる脱税の方法。特に現金商売の方はご注意を!

メディアを賑わす「脱税」事件。脱税の方法は3種類しかないといわれています。
(1)売上を抜く
(2)経費を水増しする
(3)上記の両方をする

現金での売上を計上しないというのが一般的なやり方

非常に当たり前のように思えますが、利益を圧縮するには3つの方法しかないと考えると、脱税を見抜く国税が何を見るのか、おのずとわかってくることもあります。

たとえば、売上を抜くといっても、銀行振込みがあるものを売上にしなければ、誰が見ても脱税がバレてしまいます。ですから、売上を抜く基本系は、「現金売上」を計上しないというのが一般的な方法です。

調剤薬局であった脱税事件

7月上旬に報道があった、調剤薬局2社の脱税事件。これも、現金の売上を計上しないことで脱税をしていた典型例です。

医薬品の売り上げを除外するなどして約8600万円を脱税したとして、東京国税局がいずれも調剤薬局を運営する「コスモ薬局」(横浜市金沢区)と「ケイツー」(千葉県市川市)の2社と矢野浩行・実質経営者(49)を法人税法違反容疑で横浜地検に告発しました。報道によると、2社はコスモ薬局の屋号で神奈川県や千葉県、東京都などで調剤薬局14店舗を経営。医薬品を現金で買い取る「現金問屋」に医薬品を売却した際の代金を売り上げから除外したり、親族に対する架空の給与を計上したりして法人所得を圧縮。2011年12月期までの3年間で計約3億円の所得を隠し、法人税を免れた疑いがもたれています。

「現金問屋」とは?

さて、ここで報じられた「現金問屋」とはなんでしょうか?

医薬品は大量購入するほど単価が下がります。さらに、緊急時に備える目的もあり、病院や調剤薬局が過剰な在庫を抱え込むケースが多いのです。そこに現れるのが、いわゆる「現金問屋」。

有効期間や使用期限の迫った医薬品を通常よりも安く買い取り、別の病院や薬局、卸・小売業者などに転売して利ざやを稼ぐ商売です。
病院や調剤薬局からすれば、使い道に困った医薬品を換金でき、さらに帳簿上、医薬品を捨てたことにしてしまえば、受け取った現金はすべて裏金になるという構図なわけです。
このように、現金で決済したものを売上に計上しなければ、バレにくいうえに、脱税を簡単にすることができるというわけです。

バレないと思ったら大間違い!

似たような種類の手口として、歯医者の金歯売却があります。

歯医者が患者の金歯を抜いた場合、その金歯は通常、金属買取り業者に売ることになります。これも、現金決済であることから、売上の除外として脱税の温床になるパターンです。

国税側もこれら現金決済の売上を抜く手口は知り尽くしていますから、上記調剤薬局のような事件につながるのです。「現金決済だったらバレない」なんていう安易な発想は危険ということですね。

国税はそれほど甘くないのです。

執筆  久保憂希也
1977年 和歌山県和歌山市生まれ
1992年 智弁学園和歌山高校入学
1995年 慶應義塾大学経済学部入学
2001年 国税庁入庁 東京国税局配属
東京国税局管内の税務署で税務調査を担当。
2008年 ㈱InspireConsultingを設立。税務調査のコンサルタントとして活動。
人気のセミナー講師として年間50回以上、セミナーの壇上に立つ。
著書には、「~元国税調査官が斬る~税務調査の真実」「元国税調査官が解説
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