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今更恥ずかしくて聞けない「申告漏れ・所得隠し・脱税の違い」

毎日のようにメディアで報じられる「脱税」事件。ヘッドラインには「脱税」と書いているのに、内容を読んでみると「申告漏れ」と書いていたり、「所得隠し」となっていたり・・・正直違いがよくわからないことも多いはず。また、メディアの中には、これらの用語が誤っている使用されている記事もあります。

そこで今回は、「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違いについて解説しましょう。


所得隠しのニュースをまずは御覧ください

さて、つい先日報道されたこの「所得隠し」のニュースを読んでいただきましょう。

「浜松の医療法人に1億2000万円所得隠し指摘」(読売新聞 5月31日(土)7時44分配信)

親族の会社に利益を移して所得を隠したとして、名古屋国税局が浜松市の医療法人「三宝会」に2013年2月期までの3年間で約1億2000万円の所得隠しを指摘していたことが分かった。

重加算税を含めた追徴税額は約4000万円とみられる。同法人は既に修正申告し、納付した。

関係者などによると、三宝会は、運営する浜松市西区の「志都呂クリニック」の食事の提供や施設管理業務などを、理事長の親族が経営する会社に委託。同国税局は委託業務のうち、器機レンタル料や送迎費用などで架空計上や過大な支払いがあったと指摘し、親族会社への寄付金に当たるとみなして意図的な所得隠しと認定したとみられる。

同クリニックの事務次長は「良質な医療環境を提供するために必要な経費で、所得を隠す意図は全くなかった。見解の相違はあったが、修正申告した」としている。決算書などによると、同クリニックは1989年に創業し、92年に法人化。人工透析を中心に、2013年2月期の事業収益は約13億円となっている。

所得隠しと申告漏れの違いは?

この記事では、本人が明らかに「所得を隠す意図は全くなかった」と述べているにもかかわらず、ニュースでは「所得隠し」とされています。

「申告漏れ」と「所得隠し」の大きな違いは、儲け(=所得)をミスして計算誤りをしていれば「申告漏れ」、わざと隠したり改ざん行為などを行っていれば「所得隠し」となります。つまり、儲けの金額を「わざと」「故意に」ごまかしたかどうかが違いなのでちなみに、先ほどの医療法人のニュースのように、本人が「所得隠し」を否定していても、国税側が事実を認定することはよくありますので、本人の答弁と結果が食い違うことはよくあります。

じゃあ脱税は??

なお「脱税」とは、簡単にいえば「悪いことをやって税金を免れる」ことを指していますが、ニュースなどで「脱税」と使われる場合は、国税査察官(マルサ)による強制調査が行われ、検察庁に告発されたものに限定されるのが普通です。

「所得隠し」は通常、「脱税」に含まれるのですが、脱税金額が多額でなければ告発までされないケースも多く、このような場合は「脱税」とまで言わないことが多いのです。

執筆  久保憂希也            
1977年 和歌山県和歌山市生まれ
1992年 智弁学園和歌山高校入学
1995年 慶應義塾大学経済学部入学
2001年 国税庁入庁 東京国税局配属
東京国税局管内の税務署で税務調査を担当。
2008年 ㈱InspireConsultingを設立。税務調査のコンサルタントとして活動。
人気のセミナー講師として年間50回以上、セミナーの壇上に立つ。
著書には、「~元国税調査官が斬る~税務調査の真実」「元国税調査官が解説
実例・判決で学ぶ税務調査の深奥」「元国税OBによる税務調査と実務対応」「社長、御社の税金は半分にできる!」
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