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税務調査で厳しく見られる「交際費」のポイントを専門家が解説(松嶋洋)

税務調査で問題になる項目の一つに、交際費があります。

交際費は、中小企業は800万円まで、大企業は原則として全額が経費にならないため、経費を制限したい国税は厳しい調査を行います。

交際費と認められる為に必要な3要件

このため、支出した費用が交際費に該当するかどうか厳しくチェックされますが、法律上交際費の要件は、以下の3つとされています。

(1)接待などのために支出されること(支出の目的)
(2)得意先など事業関係者に対して支出されること(支出の相手先)
(3)接待などの行為のために支出されること(行為の形態)

2つだけでも交際費?

交際費は、上記の3つの要件に該当する費用とされていますが、実務上、①と②の要件だけで課税されるケースがあります。困ったことに、この2つの要件しか満たしていないものについて、交際費とした国税の処分を、裁判所も認めることがあります。

この典型例は、株主総会の総会屋対策費用です。この費用は、国税の通達では交際費とされていますが、接待などの行為のために支出されるとまでは言えません。このため、①と②の要件には当たるとしても、③の要件には当たらないと考えられます。

しかしながら、総会屋対策費用は交際費とされているわけで、交際費として経理しなければ、税務調査では問題になります。

3要件は個別事例?

法律上、3要件が必要とされていますので、このような国税の対応には疑問があります。この点、やはり3要件が必要とされた判例として、萬有製薬事件と言われる判例があります。

詳細は省きますが、この事件では、接待などの行為がなかったために、交際費とは言えないと判断されています。安易な国税の考え方とは異なり、きちんと法律の要件を審査した判決として、税理士や学者は非常に評価しています。

しかしながら、国税の内規を読むと、この判決は実務に影響を及ぼさない個別事例と説明されています。このため、今後も二つの要件しか満たしていないのに、交際費とされることはあり得るという状況になっています。

事実、萬有製薬事件があった後の事例ですが、二要件しか満たしていないのに、国税が交際費に該当すると判断した処分について、裁判所も問題ないと判断しています。

十分に交渉する

交際費については、このように二つの要件だけで税金を取られることがあります。

法律上はあくまでも3つの要件が必要とされていますので、税務調査ではしっかりと交渉してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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