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保険料を役員報酬として短期前払費用で処理するための注意点(松嶋洋)

会社の代表的な節税として、短期前払費用があります。保険料など等質等量のサービスについて、一年分前払した場合、その費用が重要なものでないのであれば、その支払った金額を継続して経費としている場合には、一括で経費とすることができるというのが短期前払費用です。

この短期前払費用で問題になるのが、等質等量と言えるかどうかです。期間の経過に応じて等量で発生するものがこれに該当しますので、サービスの内容が時期によって異なる税理士報酬や、役員報酬については、これに該当しないとされています。

保険料が給与となる場合

一方で、保険料についてはサービスの内容が時期によって異なるというものではありませんので、原則として短期前払費用とされます。ここで問題になるのは、保険料が役員報酬として課税される場合です。

役員を被保険者とし、満期保険金の受取人を法人、死亡保険金の受取人を遺族とする養老保険の保険料については、満期保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)は会社の資産となり、死亡保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)は、経費として処理できます。この死亡保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)については、短期前払費用として処理することができます。

一方で、役員を被保険者とし、満期保険金の受取人を遺族、死亡保険金の受取人を法人とする養老保険(逆養老保険)の保険料については、満期保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)は役員報酬、死亡保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)は、経費として処理できます。この死亡保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)については、短期前払費用として処理することができますが、満期保険金に対する保険料(保険料の2分の1部分)は役員報酬になりますので、短期前払費用として処理することはできません。

逆養老保険のミスが多い?

このように、逆養老保険について、役員報酬とされる部分については、短期前払費用の適用はありませんが、通常の保険料と同様に考えて、その部分についても短期前払費用として処理している誤りが多く見られるようです。

逆養老保険の保険料は、同じ保険料でも税の意味合いは大きく変わりますので、年払いする逆養老保険の保険料について、間違えないように処理を見直す必要があります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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