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株式投資をしてる人で知らない人はいない譲渡損失の繰越控除とは(松嶋洋)

上場株式を売却して損が出た場合、その損失は3年間繰り越すことができます。

このため、平成27年で損失が出ても、平成28年に上場株式の譲渡益が生じれば、平成27年の損失と平成28年の譲渡益を通算して、平成28年の譲渡所得を計算することができます。

繰越控除に必要な2つの要件

株式投資をされる方であれば、この制度はよくご存じと思いますが、ケアレスミスが非常に多いと言われています。最も多いのが、損失の繰越しに必要になる、添付資料の付け忘れです。

譲渡損失の繰越しについては、以下の要件を満たす必要があります。

1 譲渡損失が発生した年分の所得税について、一定の書類を添付した確定申告書を提出すること
2 繰り越しを行うその後の年分の所得税について、一定の書類を添付した確定申告書を連続して提出すること

具体的にはどんなミス?

損失が発生した年分であれば問題なく申告しますが、発生した後の年分について、書類の添付がない申告をされる方が非常に多いです。

例えば、平成26年に株の譲渡損失が発生したため、所定の書類を添付した確定申告書を平成26年分は提出したものの、平成27年は株の譲渡をしていなかったため、書類の添付を忘れて確定申告をすれば、平成28年で株の譲渡益が出ても平成26年の譲渡損失と通算することはできません。連続して、一定の書類を添付した申告書を提出しなければ、繰越しができないからです。

このため、譲渡損失の繰越しをする場合には、株式の譲渡をしなかったとしても、所定の書類を添付する必要がありますので、注意してください。

期限後の申告でも原則可能

その他、ミスではありませんが、非常に多い質問の一つに、期限後申告でも問題がないかということがあります。

例えば、株の譲渡損失が発生した平成26年分は一定の書類を添付した確定申告書を提出したものの、平成27年分は給料しか収入がなかったため申告していない場合、平成28年で生じた株式の譲渡益と通算ができるか問題になります。

これについては、期限内申告までは要件とされておらず、連続して申告書を提出すれば問題ないため、平成28年分の申告前に、所定の書類を添付した平成27年分の申告をすれば、平成28年において繰越しができます。

なお、平成27年分を申告する前に平成28年分を申告すれば、繰越控除が認められないため、注意してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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