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居所と住所が異なる場合、所得税はどちらで課税される?(松嶋洋)

所得税の計算上、納税者の住所が問題になることが多くあります。所得税の納税者は、全世界の所得に対して税金がかかる居住者と、日本に源泉がある所得についてだけ税金がかかる非居住者に大きく分けられます。

この居住者・非居住者の区分ですが、原則として日本国内に住所があるかどうかで区分をし、住所が日本にあれば居住者、そうでなければ非居住者となります。

住所の判定方法とは

ここでいう住所ですが、単純に住民票だけでは見ないとされていることが、多くのトラブルの原因になっています。

住所とは、専門的には生活の本拠をいうこととされています。このため、東京23区に住民場があったとしても、実質的にシンガポールに生活拠点があるとなれば、シンガポールが住所となって原則として日本の居住者にはなりません。

一方で、外国に住所があるとして申告していたとしても、その人の職業柄日本に住んでいないとまずい、といった事情があれば、日本に住所があると判断される可能性があります。

4つのポイントが重要

国税時代、住所の判断は、以下の4つのポイントを総合的に考慮して決定すると説明されていました。

(1)職業→1年以上日本に住んでいないとまずいような仕事を職業としているかどうか
(2)国籍→日本国籍かどうか
(3)扶養家族→日本に妻子などが住んでいるかどうか
(4)住居などの物的な拠点→寝食するための拠点となる家などが、日本にあるかどうか

上記のポイントは、これらをすべて総合的に見る必要がありますので、単に国籍が外国であっても、その他の要件が日本に住所があると判断できるものであれば、国籍に関係なく日本に住所があると判断される可能性もあります。

税金を取りたいと考える国税は、上記のポイントを都合よく解釈して、住所が日本にあると判断する傾向がありますから、往々にしてトラブルになります。

都合よく解釈する国税にはご注意を!

4つのポイントを総合的に見ると言いながら、富裕層の税務調査では、上記のポイントの一つでも日本に住所があると判断されるケースでは、多くの税金を取るために、広く日本に住所があると国税は認定することもあります。

国籍などの形式的な要件だけを揃えて非居住者になっているようにふるまう、というケースは別にして、これらは総合的に判断すべき項目ですから、安易に国税の指導に従うのではなく、4つのポイントに照らし合わせて住所が日本にあると結論付けられるかどうか、粘り強く交渉してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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