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海外出張など非居住者に対する所得税ってどうなってるの?(松嶋洋)

勤務先の命令により、海外出張を任じられる場合があります。海外出張の場合における住所の判定は、その勤務期間が1年を超えるかどうかで変わります。

1年を超える出張が予定されているのであれば、出国の日の翌日から日本に住所はないと判断され、その日から非居住者として税金が課税されます。一方で、予定されていなければ、海外勤務が1年を経過した段階で非居住者になり、それまでは居住者として税金が課税されます。

非居住者の給与所得

非居住者がもらうお給料については、そのお給料の対象になる労働が日本で行われているかどうかで、日本における課税関係が変わります。日本の勤務に基因してもらうお給料については、日本に源泉がある所得とされて、日本で20%の税金(復興税を除きます。以下同じ)が課税されます。

このため、例えば海外勤務者が家族を置いて単身赴任をし、その家族に留守宅手当を支払っても、原則日本で税金は課税されません。この留守宅手当は、海外の勤務に基因して支払われるものだからです。

一方で、単身赴任中2月ほど日本に戻り、日本で勤務したことにより支払われる給料については、非居住者に対して日本の勤務に基づいて支払ったお給料として、原則として20%で源泉徴収する必要があります。

このため、海外出張を命じた場合には、その出張期間などから非居住者に該当するか否かを判断し、非居住者に対するものであれば、20%という高い税率での源泉徴収を考慮する必要があります。

借上社宅に要注意

その他、注意する必要があるのは借上社宅です。非居住者となる海外勤務者が、家族を連れて赴任し、その間空き家になる自宅を会社で借り上げて国内勤務の従業員に貸す、というケースがありますが、会社が海外勤務者に支払う借上賃料は、非居住者に対する日本にある不動産の賃料の支払いとして、20%の源泉徴収が原則として必要になりますし、海外勤務者についても、不動産所得として日本で申告が必要になります。

留守宅手当であれば、それが給料ですので、国内勤務がない限り日本で税金は課税されませんが、借上賃料については、給料ではなく不動産所得ですので、国内にある不動産に関する所得であれば、日本に源泉がある所得として、日本で税金が課税されます。

考え違いが多いところですので、注意してください。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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