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税理士法を都合よく?解釈する税理士会・綱紀監察部の問題点(松嶋洋)

先日の読売新聞に掲載されていた記事ですが、元国税のOB税理士が代表を務める税理士法人が脱税を行っていたため、税理士法違反による懲戒処分を逃れる目的で、その法人を解散し、同名の別法人を同じスタッフで作ったという事案があったようです。

別法人を作ったからと言って、実態としては同じ法人ですから、当然に処罰されるべきですが、現在の税理士法では、その処罰ができないというあり得ない現実があるようです。

非常に厳しい税理士法

一般の方にはなじみがないですが、税理士の根拠法である税理士法は、非常に厳しい法律です。税理士は一事務所しか持てないなど、非常に多くの規制が設けられています。この規制を守らせることで、飯を食っているのが税理士会の綱紀監察部といわれる部署です。この部署は非常に細かい規制を持ち出す傾向がありますので、私自身税理士法の解釈で、よくもめることがあります。

加えて、このような厳しい法律がありますので、脱税に手を染めるなど、非常に悪質な行為を行った税理士は、国税から懲戒処分を受け、場合によっては免許のはく奪もなされることがあります。

逃げ切れることは仕方がない?

にもかかわらず、別の税理士法人を作れば懲戒処分から逃げられるとすれば、社会正義の観点からは決して許してはいけないことになります。しかしながら、税理士を監督する税理士会の部署も、法律では処分できないことになっていますので仕方がないであるとか、税理士を処分するのは国税だから税理士会ではどうしようもないなどと、社会正義を顧みない発言をしています。

法律は別にして、社会正義の観点から許せないこともあるはずで、このような情けない事態に税理士としては怒り心頭です。

消費税は逃がさないのになぜか

ところで、現行の消費税法では、一定の要件を満たす場合、別会社を作ることで消費税の免除を悪用することが理論上は可能です。このような免除の悪用を国税が許すかと言えば、絶対に許さず、場合によっては法律を悪用した不正行為として脱税事件として処分することがあります。

消費税は法律に関係なく裁き、税理士法は法律があるから仕方ないでは筋が通りません。このあたり、毅然とした対応が望まれます。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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