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【税務調査】修正申告に応じないなら徹底的に調査すると脅された場合の対処

国税は自己のリスクヘッジを目的に、本来できる課税処分(更正処分)を行わず、敢えて納税者が自発的に反省をしたという修正申告を提出させることで税務調査を決着させることが通例です。もちろん、国税の指導に従う必要はなく、納得できなければ更正処分を国税にお願いし、裁判などで争うことができます。

しかし、こうなると国税は嫌なので、「修正申告に応じれば3年分だけの追徴でいいが、更正処分をするなら5年間徹底的に調査します!」という脅しをかけることが通例です。

行政手続法32条2項

こうなると、修正申告の方が安いわけで、その脅しを受け入れることが多くありますが、その脅しを受け入れる前に押さえておきたい条文が、行政手続法32条2項です。行政手続法32条2項では、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない」としています。

行政指導とは、行政が国民に対して助言や指導を行うもので、法的な拘束力はありません。法律の根拠がない以上、その助言や指導に国民が従わなかったとしても、ペナルティーを与えることはできませんから、その旨が明記されているのです。

なお、税務調査は法律の根拠に基づくものですので、行政指導に当たりませんが、国税が申告内容についてお尋ね文書を納税者に発送し、お尋ね文書の通り間違いがあれば自発的に修正申告をしてい欲しい、という依頼は、行政指導に当たるとされます。

修正申告の提出要請は行政指導

ただし、税務調査の結果、国税が納税者に修正申告を提出するように求めることは、行政指導に当たるとされています。このため、修正申告の提出要請については、行政手続法32条2項の対象になります。

となれば、修正申告の提出要請に応じない(行政指導に従わない)なら、(3年で終わらせられるところを)5年も調査する(不利益な取扱い)という脅しは、この法律に抵触する可能性があります。

このため、脅しに屈する前に、この法律から見て問題になることをきちんと主張する必要があります。

国税は行政手続法を知らない

国税職員は、自分の飯のタネである税法もよく知りませんから、行政手続法などなおさら知りませんから、誤った行政は今後も確実に行われると考えられます。

このあたり、きちんと主張することも税務調査対策では必要になります。

●執筆:元国税調査官・税理士 松嶋洋 WEBサイト
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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