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中小企業経営者の多くが利用する節税ツール「倒産防止共済掛金」の注意点

法人税の有効な節税ツールとして、倒産防止共済掛金という制度があります。倒産防止共済掛金は、取引先の倒産による売掛金などの貸倒リスクに備えてかける保険制度で、最大年240万円(総額で800万円)の掛金の支払いが認められています。

この掛金は、前納も可能であり、掛金の全額が法人税の経費になりますので、会社の利益を見ながら適用できる非常に使い勝手のいい節税手段です。手続きも簡単に行うことができますが、この制度の適用を受ける場合には、法人税の申告書に所定の別表を添付する必要があります。

添付漏れが非常に多い

加入などの手続きが簡単であるからか、はたまた一般の生命保険の保険料であれば、特に別表の添付も必要ないからか、税理士のチェックが甘くなり、倒産防止共済掛金の別表を、法人税の申告書に添付することを失念するケースが非常に多いと言われています。この点、従来は単なるミスと言うことで、税務署もあまりうるさくなかったという印象がありますが、近年はこの別表がなければ、掛金の控除を認めない、という指導も増えていると言われています。

仮に適用が否定されると、掛金の全部を控除することが認められないことになりますので、単純なところですがきちんとチェックする必要があります。なお、申告書に別表をつけないと認められない制度ですので、適用を忘れたために、後日更正の請求をして経費として認めてもらう、というやり方も認められません。

重箱の隅をつつくような税務調査が増えている

ところで、近年の税務調査では、小さいミスも確実に是正させるような重箱の隅をつつくような税務調査が増えていると言われています。単純ミスである、倒産防止共済掛金の別表の添付もれについても、この一環として国税から厳しいチェックがなされているように思えます。

重箱の隅をつつく、というと細かくて大変と思われるかも知れませんが、致命的でないミスにうるさいということでもありますので、全体として税務調査は甘くなりがちです。もちろん、致命的なミスにつながる単純ミスもありますから、その点は注意が必要です。

最悪のケースは

そうは言っても、ミスをするのは人間の性でもありますので、ミスをしてしまうこともあるでしょう。この場合は、見つかった場合は即修正する、というスタンスで対応するより他にありません。

後日謝っても許される問題ではありませんから、調査の予告があった段階で、そのミスを修正する、というスタンスを取るべきでしょう。

元国税調査官・税理士  松嶋洋 WEBサイト 東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事。

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