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「納期の特例」のデメリットとは(松嶋洋)

納期の特例を受けている会社と、それ以外の会社では、源泉所得税に対するペナルティーである不納付加算税の計算が異なります。

不納付加算税は、納期限までに納付すべき源泉所得税を納付していなかったり、税務調査で源泉所得税の計算ミスが発見されたりした場合に課税されますが、この計算は納期限ごとに行うこととされています。納期限ごとの計算ですので、以下のような相違があります。

不納付加算税の対象期間が異なる

(1) 納期の特例を受けている会社→半年ごとに計算対象とする
(2) 納期の特例を受けていない会社→毎月毎に計算対象とする

このため、例えば毎月のお給料に対して発生する源泉税が、毎月一定で8万円とすれば、納期の特例の適用を受けている会社は半年分の48万円を基礎とし、そうでない会社は8万円を基礎に不納付加算税を計算することになります。

切り捨ての規定

ところで、税務調査でミスが発見される場合にかかるペナルティー(加算税)には、切り捨ての規定があります。具体的には、計算される加算税の金額が5000円未満であれば、その全額が切り捨てられる、というものです。

不納付加算税の税率は以下とされていますので、納付が遅れるなどして、自主的に納付した際の源泉所得税については10万円未満の場合、そして税務調査で見つかった源泉所得税のミスが5万円未満の場合には、不納付加算税は全額切り捨てられて結果としてかからないことになります。

(1) 期限までに納付ができず、税務調査を受けずに自主的に後日納付した場合・・・10%
(2) 税務調査により源泉所得税の計算ミスが発見されたため、不足額を納付した場合・・・・5%

切り捨ては馬鹿にならない

基礎となる税額は、毎月納税するよりも、納期の特例の方が大きくなりますので、毎月納税する会社は切り捨てられるものの、納期の特例の適用を受ける会社は切り捨てがない、ということが中小零細企業ではよくあります。

先に見た通り、自主的に納付するのであれば10万円までは切り捨てられますが、中小零細企業や個人事業の場合、毎月10万円も源泉の納付が発生する会社は多くありません。このため、納期の特例の適用を受けていなければ不納付加算税がかからなかった、ということがあり得ます。

なお、注意点として、納期の特例の適用があるのに誤解して、毎月源泉所得税を納税している会社があります。しかし、この会社の納期限はあくまでも半年1回ですので、不納付加算税の計算は、毎月納付に関係なく半年ごとに行います。このため、納期の特例の適用があるか、確認しておく必要があります。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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