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相続税の納付が困難な方には「相続税の物納」が認められることをご存知ですか?

相続税増税が実現し、事あるごとに「相続が危ない」と叫ばれていますが、相続税は金銭ではなく、法律上現物の相続財産で納めることが認められている税金でもあることをご存知でしょうか。

この制度を「物納」と言います。

物納は極めて要件がきつい

まず、押さえていただきたいのは、物納は「延納によっても金銭で納付することが困難であると認められる場合に、納税者からの申請によって、その納付が困難な金額を限度として認められる」制度ということです。

延納とは、文字通り納税の期限を延期するという意味で、具体的には数年に分けて分割して納税することを言います。

税金は期限までに一括して納税することが大原則であるところ、この延納はその例外ということもあり、延納したい場合には、あらかじめ税務署の承認を取る必要があります。
承認を取ることも相当難しいですが、認められたとしても納税の期限を延長することになりますので、その分高い利息(利子税と言います)を合わせて国に納税しなければなりません。

にもかかわらず、物納は更にハードルが上がり、延納しても無理、と税務署に認められなければならないのです。

何でも物納できるわけではない

更に困ったことに、相続財産であっても、実はどんなものでも物納できるわけではありません。

物納できる財産は、以下の4つの相続財産に限定されています。
(1) 国債と地方債
(2) 不動産や船舶
(3) 社債や株式など所定の有価証券
(4) 動産

一見すると、大きな相続税負担につながる土地や建物は不動産ですので問題がないと思われるかもしれませんが、基本的に抵当権などの担保が付されていたり、処分が制限されていたりする不動産は物納できないとされています。

言うまでもなく、物納を受けた国は、それをお金に換えるわけですから、お金に換えがたい相続財産は物納を認めない、という方針です。このあたり、法律には非常に細かい規定が設けられています。

その他、上記の4種類の財産を納税者が自由に選んで物納することはできません。
(3)の財産は、(1)と(2)の財産で適当なものがない場合、(4)の財産は、(1)~(3)の財産で適当なものがない場合に限り、物納できるとされています。

物納だけに物NO!

このように、物納は非常にハードルが大きく、かつ非常に手続きが複雑なものです。

このため、物納は「物はNo!」などと風刺されることも多々あります。

相続税は増税されても、納税の負担を和らげる政策はあまりとられていません。

このため、平成27年からは、「死ねない時代」が到来したのかもしれません。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

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