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節税対策として有名過ぎる「社員旅行や研修旅行」も使い方次第では課税対象

法人の節税の王道として、福利厚生としての社員旅行があります。社員旅行については、以下の要件を満たす限り、福利厚生費として法人の経費になります。

(1)旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること(工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50%以上が参加すること)

この要件を満たしていれば問題ありませんが、要件を満たさないとなると、福利厚生費ではなく、その支出金額が社員等に対するお給料として課税されます。その要件の判断について、問題になる例をいくつか紹介します。

日数は合理的である必要性

上記において、海外旅行の場合には、現地の滞在日数で判断すると解説しましたので、移動に要する日数は、原則として考慮する必要はありません。しかしながら、移動時間は合理的である必要があります。

例えば、香港に旅行するとすれば、5時間程度で到着します。このため、例えば香港の旅行をクルージング旅行とし、数日の船中泊を含むとすれば、それは合理的とは言えませんので、旅行全体が福利厚生費ではないとされます。

部署ごとの判断は可能

福利厚生は社員に均等になされるべきもの、という考えがありますので、原則としては全員が参加する必要があります。このため、人数の要件が設けられており、最低でも50%は参加すべきとされていますが、この50%の判断は、部署や支店ごとに旅行することが通例であれば、会社全体ではなく、部署や支店ごとに見ても問題ありません。

実際のところ、会社の都合上、社員全員が社員旅行で休むのは難しいですから、部署ごとに、複数回に分けて旅行することも多くあると思います。このような場合には、それぞれで50%の判断をすれば問題ありませんし、行き先が部署によって異なる場合も、上記の要件を満たす場合には問題ないとされています。

金銭の支給はだめ

なお、社員旅行に全員が参加できない場合、参加できない社員に旅行代金相当額のお金を支払うこともありますが、お金を払ってしまうと、そもそも社員旅行にならないとされていますので、旅行に参加しなかった社員はもちろん、旅行に参加した社員についてもお給料として課税されることになりますので、注意が必要です。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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